東電福島MOX差止裁判・MOX燃料疑惑

裁判資料:申立書(10/06up)

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申立の趣旨
序章 申立の概要
第一 はじめに
第二 申立の概要
第一章 プルサーマル計画の危険性
第一 プルトニウム利用の問題点
第二 沸騰水型原発におけるプルサーマル計画の概要
第三 MOX燃料とペレット外径の管理
第四 MOX燃料ペレット製造・検査の本質的な困難
第二章 東京電力2月報告書の問題点
第一 品質保証を確認する唯一の資料
第二 測定そのものでの不正の疑義
第三 不正を覆い隠す加工されたデータ
第四 抜取規格とは異なるやり方をしていた
第五 はじめから「不正の疑義」はないという姿勢に問題
第六 東京電力2月報告書では品質保証を確認できない
第三章 ベルゴ社の不正は明らかである。
第一 不合格となったブレンダーはゼロ
第二 不合格率と不良率の考察
第三 東京電力での不合格ゼロの異常性は明らか
第四 0・1(ゼロイチ)判定の特異性
第四章 立証責任
第五章 事故による被害の深刻性
第六章 保全の必要性
第七章 おわりに(我々はなぜこの仮処分を申立てたか)
第一 高浜原発MOX燃料使用の中止と電力会社・通産省に対する信用の失墜
第二 ベルギー製東京電力用MOX燃料にも疑惑
第三 東京電力福島用MOX燃料の使用差止を求める理由
結論
証拠方法


 

MOX燃料使用差止仮処分命令申立書

債権者 林 加奈子   外八六一名

          債権者代理人 弁護士 海渡 雄一 河合 弘之 冠木 克彦 内藤 隆
内山 成樹 福武 公子 小島 啓達 斎藤 利幸 大峰 仁

債務者 東京電力株式会社 代表者代表取締役 荒木 浩

 

MOX燃料使用差止仮処分命令申立事件

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申立の趣旨

一、債務者は別紙物件目録記載のMOX燃料を、福島第一原子力発電所三号機に装荷して使用してはならない。

との裁判を求める。

 

申立の理由

 

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序章 申立の概要

第一 はじめに

一 きわめて憂慮すべき事態が進行している。

 原子力の分野で、ねつ造、改ざんといった不正があいついでいる。また、プルトニウムという核物質の、本格的な商業利用が始められようとしている。

 本件仮処分は、この両者が合体したプルトニウム燃料の安全の保証がされないという、きわめて重大な事実を問うものである。すなわち、債務者東京電力株式会社(以下「東京電力」という)がはじめて使用しようとしているプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)は、品質が保証されず、品質データにねつ造または改ざんなどの不正の疑いが強いのである。

 東京電力はおろか、規制当局である通産省までが、この疑いの解明、調査を放棄したまま、早ければ9月にもこの燃料が使用されようとしている。我々は、債務者らが公開した非常に限られた情報をもとに、右の疑いが確かな科学的根拠を持つものであることを立証する。

 疑いを否定する第一次的な立証責任を有するのは、債務者東京電力であることから、同社が一点の曇りなきまでに不正の疑いを晴らすまで、右燃料を使用しないよう、差止の仮処分を申立てるものである。

 申立の理由を述べるに先立ち、いくつか留意を求める点を指摘しておく。

 

二 なぜ、東京電力はベルゴ社との契約を放棄したのか説明すべきである。

 東京電力はベルギーのベルゴニュークリア社(以下「ベルゴ社」という)とは200体のMOX燃料集合体の加工委託契約を結び、そのうち60体が製造された。しかし残りの140体については、契約先をフランスのメロックス社に変更していたという事実が今年の東京電力の株主総会で明らかになった。

 東京電力の原発は沸騰水型原発(BWR)であり、加工委託契約を結んだ1995年当時、東京電力向けにMOX燃料を製造できるのはベルゴ社のみであった。ベルゴ社への今後の委託については今だ全く未定とのことである。東京電力は、ベルゴ社はすばらしい会社であるからMOX燃料の安全性には問題がない旨、再三公言している。それが事実であるなら、なぜ解約したのかは全く不可解であり、我々の疑いを増幅させるものである。

 

三 東京電力はデータの解析をせず、通産省はデータをみてもいない。

 ベルゴ社は、MOX燃料のデータ不正の疑いを払拭する明解な証拠となるはずの元データを社外に持ち出すことを拒否し、東京電力もそれに従っている。ベルゴ社は、東京電力や通商産業省(以下「通産省」という)にはベルギーの工場内でデータを見ることができる、としているが、通産省はあえて見ていない。一層大きな疑惑は、この通産省の態度から生じる。通産省が提出した、7月18日付「参議院議員福島瑞穂君提出東京電力MOX燃料の品質保証確認に関する質問に対する答弁書」(以下「国会答弁書」という)に記載された回答は、ことごとく東京電力からの伝聞調で、自ら調査、確認する作業を怠っていることを平然と書き連ねている。自らチェックする代わりに己の逃げ道を用意しただけである。

 しかし地元行政をはじめとして、何も知らない県民、国民においては、国が責任をもって安全規制を行っているものと信じている。右記国会答弁書等により、その期待に応えないことが明白になった以上、我々は本件MOX燃料の使用の適否の判断を司法の手に委ねる外なかったのである。

 

四 東京電力MOX燃料にも「ルール違反はアウト」を適用せよ。

 通産省は電気事業審議会にBNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会(以下「BNFL検討委員会」という)を設け、そこにBNFL社製MOX燃料データねつ造事件(以下「BNFL事件」という)における通産省・関西電力株式会社(以下「関西電力」という)の対応の問題点と再発防止策を諮問した。委員会の議論には不十分な点が多々あるが、「ルール違反はアウト」すなわち、不正があれば使わせない、というしごく当たり前の見解が委員らから明解に表明されたことは評価される。

 過去に起きた輸送容器の中性子遮蔽材データ改ざん・ねつ造事件や日立信光の溶接データねつ造事件に対しては、不正発覚後、専門家による専門的評価に逃げ込み、不正はあったが安全性に問題ないとの結論をつけて、結局はそのまま使用継続を認めてしまっている。BNFL事件においても、関西電力や通産省さらにはBNFL社や英国原子力施設検査局(NII)まで、不正があっても安全上問題ない、として使用継続を認めさせようとした。

 しかし、結局BNFL事件では、こうした姿勢はしりぞけられ、福井県の要求によって、不正が明らかになった2体だけではなく8体全てが使用中止となった。「ルール違反はアウト」との考え方は、東京電力のMOX燃料について検討する際にも、当然適用されるべきものである。

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第二 申立の概要

一 データねつ造で中止された高浜原発におけるMOX燃料使用

 昨年9月に発生した東海村臨界事故は、深刻な放射線被害をもたらし、隣接する福島県や首都圏を含めた多くの住民に被曝の恐怖を与え、原子力に対する不信が大きな世論となった。この時期、BNFL社が関西電力高浜発電所(以下「高浜原発」という)3号機用に製造したMOX燃料の検査データのねつ造が発覚しており、日本に到着していた高浜原発4号機用MOX燃料についても不正の有無が問題となっていた。関西電力・通産省は、高浜4号機用MOX燃料には「不正はない」と主張した。しかし、この燃料にもデータのねつ造があったことが明らかになり、12月に使用は中止された。

 高浜原発4号機用MOX燃料と同時に東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という)3号機用MOX燃料も日本に運ばれたが、この燃料にも検査に不正があったと推認される。東京電力はこれを原子炉に装荷して運転を強行しようとしている。

 

二 製造・検査に本質的な困難性を有するMOX燃料

 MOX燃料は、製造・検査に際して、ウラン燃料にはない固有の困難性を有することが、BNFL検討委員会や関西電力そして東京電力の文書によって明らかされている。こうした困難がBNFL社での不正の基盤にあるが、これはMOX燃料の特性に由来するもので、製造と品質管理検査に普遍的に存在すると考えるべきである。決してBNFL社だけにある問題ではない。むしろベルゴ社の品質管理能力はBNFL社よりも劣悪であるとのレポートもある。

 

三 関西電力の報告書にも劣る東京電力2月報告書

 通産省は、BNFL事件を受けて、ベルゴ社で製造していた東京電力福島第一原発3号機用のMOX燃料ならびに柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原発」という)3号機用MOX燃料について、その品質管理状況についての再調査を東京電力に命じた。

 東京電力はこの結果を今年2月24日に「福島第一原子力発電所3号機並びに柏崎刈羽原子力発電所3号機用MOX燃料に関する品質管理状況の再確認結果について」と題する報告書(以下「東京電力2月報告書」という)にまとめたが、その内容は、関西電力が高浜原発4号機用MOX燃料については「不正はない」と結論し、通産省がこれを妥当と認めて誤った、昨年11月1日の「BNFL製MOX燃料の製造時検査データに関する調査結果について(最終報告書)」(甲第二五号証)と題する報告書(以下「関西電力11月最終報告書」という)と比較しても、調査内容、データ内容、分析方法において遥かに劣っており、調査は一般的な品質体制の確認に留まっている。

 

四 不正の有無を確認したのはデータのコピーだけ

 東京電力が不正の有無を確認したのは、データのコピーの可能性だけである。今年になってBNFL社において、データのコピー以外の手口で、測定そのものでの不正があったことが明らかになっているが、ベルゴ社において同様の不正があったのかについて、これに対応した調査を行っていない。ベルゴ社における測定は、不正が起こりうる状況で行われており、不正を抑止できるものは何もなかった。にもかかわらず東京電力は、元データにあたっての確認をしていない。

 

五 公開されたデータには不正を覆い隠すような加工がされている

 BNFL事件において、市民団体は全数測定データと抜取検査データの統計的分析によって不正の証拠を見出した。事件の経緯は、測定データが公開され、統計的な分析が行われることが不正の有無の確認に有効であることを立証した。

 一方で、ベルゴ社での再調査において最も重要と思われる検査データの確認については、東京電力も通産省もデータの持ち出しを拒否するベルゴ社に従い、データの入手すらしていない、と説明している。ベルゴ社が作成し東京電力が公表した検査データには、不正があってもそれがわからないような加工が施されている。これは関西電力が、不正はないと言い張るために行ったのと同じことである。

 

六 抜取検査は規格に従っていない

 抜取方法については、東京電力2月報告書には「規格に基づいて」行っていた、とありながら、通産省の国会答弁書から、実は規格に従わないやり方をおこなっていたことが明らかになっている。検査がずさんであったことを示すだけでなく、安全審査の手続きに抵触するものである。

 

七 はじめから「不正の疑義はない」と決めつけている

 BNFL事件に際して、関西電力と通産省は、高浜原発3号機用MOX燃料で不正が明らかになったにもかかわらず、高浜4号機用MOX燃料については、はじめから「不正はない」と意図的にきめつけ、BNFL社の判断を鵜呑みにし、事件の解明にあたらず、判断を誤った。

 東京電力は再調査において、これと同じ姿勢をとっている、すなわち「ベルゴ社には不正の疑義はない」とはじめから決めつけている。東京電力は関西電力・通産省と同じ誤りを繰り返そうとしている。

 

八 東京電力2月報告書では品質保証を確認できない

 以上の点を踏まえれば、東京電力2月報告では、品質保証を確認することができず、ベルゴ社製MOX燃料でもデータ不正が存在するのではないかという疑義が浮かぶのは当然のことである。

 BNFL事件の場合、高浜原発4号機の不正が明らかになったのは、福井県議会の要請により元データが公開されたからである。ところがベルゴ社については、ベルゴ社が行った外径検査や全数測定の元データはおろか、東京電力が行った立会検査のデータをはじめ、基本的な数値さえ明らかにされていない。

 ベルゴ社と東京電力がデータを開示せず、不正があっても分からないように加工しているのは、データの異常を隠すためのものと確信する。東京電力は、その疑惑を払拭するようにデータを取得しこれを公開するのが当然のことである。逆にもしそのような努力をしない場合には、データ不正があったとみなすべきであり、BNFL事件を踏まえれば、司法がこのような立場をとるのは至極当然のことである。

 また、不正を払拭するようなデータを通産省も確認していない。これでは、安全性の判断が国としても不可能であり、したがって安全性は保証されえない。

 

九 公開資料からも推認できるデータ不正

 それどころか、公開された数少ないデータの範囲内からでもデータ不正が行われたと推認されるべき証拠を示すことができる。それは、東京電力は福島第一原発3号機用MOX燃料ペレットの抜取検査時に、不合格となったブレンダーが一つもなかったという事実である。

 ベルゴ社の検査で用いられた抜取率、判定方法によると、ペレット全体の不良率がBNFL社と同程度であることを想定すると、検査時の不合格率は約36%に達する。それがゼロであるというのだから、これは異常なことである。BNFL社とベルゴ社でそれほどまでに製造能力に違いがあるとは考えられず、検査において何か不正な操作がされたとみなすほかない。

 

一〇 第一義的な立証責任は東京電力にある

 品質が保証され、不正がない事を示す第一次的な立証責任を有するのは東京電力である。

 

一一 規格外燃料を使用することによる想定外の危険性

 そもそも、原子力発電所の設置と運転は原子力安全委員会の安全審査基準に適合しなければならず、極めて危険な原子炉の運転に際して安全性の最低限の保証が同審査基準に適合していることである。

 MOX燃料を構成する一つのペレットの外径仕様は10・330o〜10・370oを満たすように検査されているように、厳格性が求められている。検査データはこのペレットが同基準内か否かの重要な資料であり、このデータに不正があれば、右基準外のペレットが混入している可能性がある。

 安全審査は右基準を満たす燃料を使用している事を前提にしているわけであるから、基準を満たさない燃料ペレットが混入している場合、そもそも安全審査の前提を欠き、安全保証の埒外で原子炉を運転することになる。MOX燃料の使用は、それだけでもウラン燃料だけの場合に比べて危険性が増すのに、不正につくられた疑いのある燃料ペレットが使用される燃料棒中に使われているとなれば、事故の危険性と放射能の影響はさらに膨らむことになる。

 基準外のMOX燃料ペレットが使用されていれば、炉心に挿入されていた制御棒が落下するような事故が起きたときに、破損してしまう燃料棒の数や損傷の程度が大きくなる。このことはさらに、破損した燃料によって冷却材や再挿入しようとした制御棒の進路までふさぎ、高圧力下での炉心溶融事故を引き起こす可能性も否定できない。その場合には、溶融した炉心によって圧力容器が破壊されるだけでなく、格納容器や一部の工学的安全装置の機能喪失を招き、環境中に大量の放射能を放出・拡散させることになる。

 重大事故の実験などそもそも不可能であり、現になされていない。基準外のペレットの使用自体が想定されていないわけであるから、いかなる重大事故に発展するか、そして、その場合どのようにして安全装置が働いて制御できるかなども解析すらなされていない。安全の保証は全く存在していない。

 

一二 生命身体に対する被害

 債権者らは、それぞれ、福島県や首都圏、その他全国に居住する住民であり、福島第一原発3号機において重大事故が発生した場合、重大な生命身体に対する被害を蒙る可能性をもっている住民である。

 

十三 緊急の必要性

 東京電力は現在の進行状態でいくと、早ければ本年9月に遅くとも今年中にも、本件MOX燃料を福島第一原発3号機に装荷する予定であり、一刻の猶予も許されない状態に至っている。

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第一章 プルサーマル計画の危険性

第一 プルトニウム利用の問題点

一 プルトニウムリサイクルの欺瞞

 プルトニウムは、原子炉の中で中性子照射されたウランが変化してできるもので、自然界には存在しない。軍事利用であれ商業利用であれ、人類がプルトニウムを利用するときには、そのプルトニウムは、すべて人の手により生成されたものである。プルトニウムは生成しただけでは利用できない。再処理という化学的分離工程を通して使用済核燃料から抽出する必要がある。抽出したプルトニウムをウランと混ぜ、通常の原発の燃料として使用するのがプルサーマルである。国は、核廃絶を唱えつつプルサーマルや高速増殖炉の開発を、プルトニウムリサイクルや核燃料リサイクルなどと称して進めている。

 プルトニウムの生産効率は、発電用原子炉で約1%、そのうちエネルギーとして利用可能な核分裂性プルトニウムは0・6%にすぎない。3〜4%が超高レベルの放射性廃棄物であり、残る95%はウランで、回収ウランと呼ばれる。「リサイクル」のためにはこの回収ウランの利用が不可欠だが、実際には放射性廃棄物が混入しているため、放射能が高く、経済的にも技術的にもこれを再利用することは困難である。今年6月の株主総会において、東京電力は回収ウランの資産価値をゼロと算入している旨、公表している。このことからも明らかなように、東京電力がプルサーマル推進の根拠としている「資源の有効利用」(甲第一二号証7枚目)というのは欺瞞である。

 

二 東京電力がプルサーマルを行うメリットはない

 MOX燃料がウラン燃料と比べてもコストがかかることは東京電力も認めている。貿易統計によると、燃料体そのものの値段で1体あたり約2・3億円にのぼり、ウラン燃料の数倍にもなるといわれている(甲第十三号証)。再処理や輸送に伴う費用を加えるとさらにコストは膨らむ。東京電力はこの問題について、MOX燃料の使用がウラン燃料と比べてもほんのわずかな割合でしかないので、コスト高は吸収できると述べている(甲第一二号証10枚目)。しかしこの言い分は、プルサーマルを大規模に行うことが前提となる「資源の有効利用」という大義名分にも反する。コスト削減が急務の東京電力にとって、コストがかさみ、危険性が増し、住民の理解が得がたいこのプルサーマルを行うメリットは全くない。今計画を取りやめても不利益を蒙ることはない。

 

三 プルトニウム在庫量は急増している

 1%とはいっても、大量の使用済核燃料を再処理するのであるから、相当量のプルトニウムが抽出される。非核保有国である我が国は、必要以上のプルトニウムを持たないことを内外に公約している。だがプルトニウムの在庫は近年急増している。

 電力各社はこれまで、核保有国でもある英仏に再処理を委託してきた。その結果、東京電力帰属の海外抽出プルトニウム量は、核分裂性プルトニウムで約9トンの見込みとなり、これを2005年頃までに全量抽出完了の予定でいる。これを東京電力では、自社の原発3〜4機でプルサーマルを実施することにより、2010年までに使い切る、としている。しかし、今回東京電力がベルゴ社に加工委託したMOX燃料中のプルトニウム量は、計0・28トンにすぎず、大量の余剰プルトニウムが生じるのは目に見えている。余剰があるなら生産を止めるのが当然である。しかし東京電力は委託先のBNFL社での再処理を止めず、それどころか、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場と大量の新規契約を結んでいる。

 

四 深刻な放射能汚染を引き起こす再処理

 再処理工場では、原発が1年間で放出する放射能をたった1日で放出するほど放射能汚染が激しい(希ガスの放出放射能管理値での比較)。英仏の再処理工場では、放射能が排水管を通じて日常的に漏れ出し、あるいは気体となった放射能が大気中に垂れ流されている。深刻な海洋汚染を引き起こし、周辺で小児白血病が増加するなど、原発事故に匹敵する被害が伝えられている。

 

五 プルトニウム利用からの撤退が世界の趨勢

 プルサーマルについては、米国、スウェーデン、イタリアは20年以上も前に中止し、オランダは約10年前に止めている。脱原発の方針を決めたドイツをはじめ、スイス、ベルギーも中止の方向に向かっている。プルサーマル先進国のフランスでもこれ以上拡大しない方針である。

 今年6月30日には、デンマークのコペンハーゲンで開かれていた北東大西洋の海洋汚染防止のための国際会議であるオスパール委員会定例会議において、デンマークが提案した、英仏は再処理をやめ放射能放出を防止せよ、という主旨の決議が採択された。イギリス・フランスは投票を棄権したが、英仏に再処理を委託しているドイツ、スイス、そして東京電力のMOX燃料を製造したベルギーを含め、会議に参加した欧州15か国中12か国が賛成した。欧州の脱再処理・プルトニウム利用からの撤退の流れは確実に進んでおり、それがますます加速されるだろう。(甲第三十二号証P6P9P27P28)

 

六 溢れ出す使用済核燃料

 原発から生み出される使用済核燃料は、原発内の貯蔵プールに保管されているが、これが各地の原発で限界に近づいている。特に東京電力の福島第二原子力発電所は事態が深刻で、貯蔵プールに燃料を詰める間隔を狭めて容量を増やす「リラッキング」という措置をとり、さらに少しでも空いている原子炉のプールに移送する「号機間移送」を行っているが、それでも2003年には溢れてしまう。(甲第一七号証P14)溢れる使用済核燃料を、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場に併設し既に完成している貯蔵プールに送らなければ、原発を止めざるをえなくなる。青森県は、再処理後の燃料の使い道をはっきりさせることを使用済燃料受け入れの条件としている。東京電力がプルサーマルを急ぐ実の理由がここにある。

 しかし、こうした措置が問題を先送りにし、さらに事態を悪化させることは目に見えている。このまま行くと、使用済核燃料はさらに溢れ続け、行き場のないプルトニウムは溜まるばかり。プルサーマルにより発生するMOX燃料の使用済燃料はもはや再処理すらできないほど不純物が多く、汚れた「核のゴミ」としてこれも溜まり続けることになる。

 

七 それでも全量再処理

 高速増殖炉が20世紀中にも実用化され、各電力会社が高速増殖炉に主力を移していく、という従来の政策がすでに破綻しているにもかかわらず、国は使用済核燃料の全量を再処理する方針を変更していない。この計画が無謀なことは、この再処理に伴い抽出されるプルトニウム量からも明らかである。それは約300トンにものぼり、そのうち東京電力の分は約100トンにもなる。これがとても一電力会社に扱える量ではないことは、米ロの解体核兵器から生ずるプルトニウム量は約250トンといわれ、その始末に世界中が頭を悩ませていることからも明らかである。そして本年5月に成立した、高レベル放射性廃棄物の地層処分のための法律ではすべての使用済核燃料を再処理することを前提としてしまっている。このような法律を制定することでこの「うそ」はさらに上塗りされた。国は2015年までに発生する使用済核燃料をすべて再処理するという前提のもとで、4万本の高レベルガラス固化体を深地層処分する計画を始めた。

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第二 沸騰水型原発におけるプルサーマル計画の概要

一 プルサーマルとは

 プルサーマルとは、特性の異なるウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料を、通常のウラン燃料用に設計された軽水炉に装荷して燃焼させる方式のことである。特性の異なる燃料を混ぜるにもかかわらずウラン燃料だけの場合と燃料挙動が全体的に同じになることが、大前提・建前とされている。そのため様々な工夫がなされているが、ウラン炉心が基本的に一様なのに対して、プルサーマル炉心はきわめて複雑な構造になっている。

 

二 沸騰水型原発におけるプルサーマルの危険性

 MOX燃料には、ウラン燃料と比較しても、制御棒の効きが悪くなり停止余裕が低下する、融点が低下する、熱伝導度が悪くなる、ガス放出率が悪くなる、ボイド係数の絶対値が増える、といった安全上不利な特性があり、このことは東京電力や通産省も認めている(甲第一一号証P17P18P25・甲第一〇号証)。これにより安全余裕が切り縮められ、事故が起こりやすくなる、あるいは、事故が起きた際にそれをより拡大し、さらには放射能被害を拡大するおそれがある。

1 制御棒の効きが悪くなる

 プルトニウムは炉内で主に熱中性子と反応して燃えるが、その熱中性子をウランの2倍近くよく吸収する。制御棒はその熱中性子を吸収することによって核分裂反応を抑えるのであるが、MOX燃料の近辺では、その熱中性子がウラン燃料に比べて少なくなっているために、制御の効果が小さくなってしまう。そのために制御棒の近辺ではプルトニウムの富化度を下げたりあるいは、ウラン燃料棒を配したりして炉の構造を複雑にしている。既存の軽水炉に最大3分の1までしかMOX燃料を装荷できないのもこれが原因とされている。フランスではMOX燃料を使う際には、原発の制御棒の本数を追加している。(甲第二四号証P3・甲第二一号証)

2 ホウ酸水の原子炉停止効果が悪くなる

 同様の理由で、事故時に炉内に注入するホウ酸水の原子炉停止効果が悪くなる。軽水型原発では緊急時には緊急炉心冷却装置により、ホウ酸水を注入して、原子炉の反応を止めることにしている。

3 ボイドの負の効果が増大する

 沸騰水型原発の炉内にはボイド(沸騰による泡)が存在する。ボイドの負の効果というのは、沸騰が盛んになりボイドが増えると、出力が下がることである。これは逆に、主蒸気隔離弁急速閉止事故のように炉内の圧力が急上昇しボイドが潰れるような事故が起こると、出力が急上昇し原子炉が暴走するおそれがあることを意味する。MOX燃料ではこの負のボイド係数がウラン燃料に比べても増加するため、こうした危険が増す。

4 燃焼にむらができ燃料が損傷しやすくなる

 MOX燃料を含んだ炉心では、ウラン燃料とMOX燃料の燃焼の仕方が違うことから、場所による出力の違いが大きくなる。局所出力がピークになる燃料棒では燃料が破損しやすくなる。そのため、集合体内で位置によりプルトニウム富化度を変えなければならない。

5 原子炉が暴走しやすくなる

 沸騰水型原発の制御棒は下から重力に逆らって挿入している。炉心の圧力は約70気圧あり、絶えず制御棒を落下させようとする力がはたらく。制御棒落下事故が起きた際に、原子炉は暴走する危険があるが、その暴走速度はMOX燃料の場合はウラン燃料よりも大きくなる。

6 燃料がコナゴナになる

 制御棒落下事故では、中性子が一挙に増えて反応度が高まり、燃料がコナゴナに破損して冷却水中に飛び出す恐れが生じる。加圧水型原発の例であるが、フランスのカブリ炉で行われた実験では、意外にもろく、MOX燃料はコナゴナになって冷却水中に飛び散っている。そうなると冷却水の流れが塞がれるため、冷却が妨げられて大惨事になる危険性が起こる(甲第四二号証)。

7 ガスの放出率が増える

 原子炉では、燃料ペレット内部の核分裂によって生成された希ガスやアルファ線から転化したヘリウムガスなどが発生するが、MOX燃料ではこうしたガスの放出率が、燃焼度の高い燃料で急激に増える。その際にはペレット内部に十分にガスが溜まっていると考えられるが、このガスはペレットを膨張させ、被覆管を圧迫することにより、燃料が損傷する原因となる。

8 事故が起きたときの放射能被害が拡大する

 MOX燃料にはプルトニウムやアメリシウムなどアルファ線を出す超ウラン元素(アクチノイド)という放射能が最初から含まれており、これら放射能が外部に放出されると著しい内部被曝をもたらす。それゆえ重大事故になると、通常のウラン炉心と比べて一層重大な放射能被害を住民にもたらすことになる。

 

三 プルトニウムスポットは避けられない

 国際的な環境保護団体「グリーンピース・インターナショナル」 は「MOX燃料はプルトニウムとウランの均質性の品質管理が非常に難しく、炉心の中性子物理や被覆管損傷に与える影響は深刻」とする最新の研究報告書(甲第三四号証)を福島県・新潟県に提出した。この報告書はオックスフォード・リサーチ・グループのフランク・バーナビー氏がグリーンピースの依頼でまとめたものであるが、バーナビー氏は元ロンドン大学教授をつとめた英国核兵器開発計画の研究者である。

 この報告書においてバーナビー氏は、酸化ウランと酸化プルトニウムという異質なものを完全に混合することは、技術的に原理的に不可能で、MOX燃料ペレット中にプルトニウムの塊であるプルトニウムスポットが生じることが避けられないと指摘している。さらにプルトニウムスポットの検査には時間と経費がかかり、きわめて少数の抜取検査しか行われておらず、プルトニウムスポットを持つペレットを検査で排除することはできないこと、ベルゴ社は製造能力、品質管理能力ともBNFL社よりも劣ることを指摘している。ベルゴ社が福島第一原発3号機用MOX燃料について行ったプルトニウムスポットの検査は約43万個のペレット中たったの32個であった。さらにバーナビー氏は、プルトニウムスポットが燃料を覆う被覆管に損傷をあたえ、安全上深刻な影響を与えるものであると警告している。

 なお、この問題についての原子力安全委員会原子炉安全専門審査会の資料には肝心な部分に白塗りがされている(甲第四三号証)。

 

四 危険な実験 

1 類を見ない数と割合

 東京電力は、福島第一原発3号機、柏崎刈羽原発3号機で具体的にプルサーマル計画を進めている。(甲第一二号証5枚目)今回ベルゴ社で製造したMOX燃料集合体は、福島第一原発3号機用が32体、柏崎刈羽3号機が28体であるが、将来的には、福島第一原発3号機で約240体、柏崎刈羽原発3号機で約350体のMOX燃料集合体を装荷する予定で、これは、それぞれの原発の集合体比で約44%と約45%にあたる。これは燃料の重量比でおよそ3分の1にあたる。(甲第二〇号証P30)東京電力は、安全上問題がないことを主張する理由として、敦賀1号機での少数体実験の結果と、ヨーロッパでの実績を強調する。しかし敦賀1号機の実験で使われたMOX燃料集合体はわずか2体で、集合体の割合を高くした場合の安全性は、計算上の話にすぎない(甲第二二号証)。ヨーロッパの例をみてもこれだけの集合体数、集合体割合は類を見ない。

2 乏しいヨーロッパでの実績

 1986年に国が立てていたプルサーマル計画では、敦賀原発1号炉の少数体実験と、本格利用の間に、80万キロワット級原発での「実用規模実証計画」が存在した。(甲第二六号証P15)それがいつの間にかなくなりいきなり本格利用となった。本格利用の最初に80万キロワット級の福島第一原発3号機が選ばれたのは、もともとは「実用規模実証計画」をこの炉で行う予定であったためと推測される。ところで、いきなり本格利用になった理由を東京電力に尋ねると、この間にヨーロッパでの経験が蓄積されたので不要となった、旨の返答であった。しかしヨーロッパでの実績について言えば、原発全体でみても少なく、さらに東京電力の原発と同じタイプの沸騰水型原発での実績はほとんどないに等しいのが現実である。

 プルサーマルの世界の実績は約30年間に渡って1700体余りで、これはウラン燃料集合体のわずか0・2%である。沸騰水型原発についていえば、その実績は1997年時点の累積でわずか360体程度である。これは柏崎刈羽原発3号機たった1機で最終的に予定されている集合体数とほぼ等しい。しかもほとんどが小型炉での実験で、その実験も1980年代に終えている。現在はドイツの2つの原子炉に装荷されているだけである。(甲第一一号証P31・甲第一七号証P11)

3 東京電力のプルサーマルは危険な実験

 重要な指標にプルトニウム富化度と燃焼度がある。プルトニウム富化度とは、ウランに混ぜるプルトニウムの割合を示し、これが高くなるほど危険度が増加する。福島第一原発3号機用MOX燃料のペレット最大の核分裂性プルトニウム富化度は6%である(甲第三七号証ノ一)。敦賀原発における実験の際の同じ富化度4・64%(甲第二二号証P5)を上回る。

 燃焼度とは一定重量(1トン)の燃料がどれほど多く燃えるかを表す数値である。燃焼度が4万MWd/tをこえると、燃料ペレット内部の気体(アルファ線−ヘリウムガスなど)の放出率が急激に増えることが確認されており、フランスは燃焼度の制限値を3万5千に抑えている。福島第一原発3号機で予定されているMOX燃料集合体の燃料集合体最高燃焼度はそれを超える4万MWd/tである。(甲第二六号証P13・甲第二四号証P3)

 福島第一原発3号機用MOX燃料の富化度と燃焼度を越える燃料での実験は行われてはいるが、いずれも小型炉での少数体実験で、東京電力が予定しているほどの大規模な集合体数、集合体比での燃焼の経験はない。また、沸騰水型原発での長期にわたる実験にドイツのカール炉の例があるが、数少ない貴重な実験であるはずなのに、結果が公開されておらず、東京電力ですら入手できないでいる。

 東京電力の福島と柏崎でのプルサーマル計画は外国でも経験のない過酷な条件であり、それをテストもなしにいきなり本番の商業利用で実施するという無謀なものである。危険な実験といってもよい。

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第三 MOX燃料とペレット外径の管理

一 MOX燃料

 MOX燃料ペレットは、直径約1p高さ約1pほどの円筒形した、燃料を構成する最小単位である。酸化ウランと酸化プルトニウムの粉末を混ぜ合わせた原料を焼き固めてつくられ、それを研削機にかけて外径が一定の仕様を満たすように研削される。ペレットを被覆管と呼ばれる鞘に収めたものが燃料棒で、福島第一原発3号機用MOX燃料では、さらにMOX燃料棒とウラン燃料棒を合わせて60本を束ねて1つのMOX燃料集合体としている。

 東京電力が通産大臣に提出した福島第一原発の原子炉設置変更許可申請書(以下「申請書」という)によると、円筒形をしたペレットの円の直径にあたる外径は、「約10・4o」と記載されており、これで許可をうけ、現実の仕様範囲を「10・330〜10・370o」(甲第五号証P23)としている。

 

二 なぜペレットの外径を厳格に規定するのか

 ペレットの外径を千分の一ミリメートル単位で規定する理由には、ペレットとそれを被う鞘である被覆管との隙間が関係している。前記申請書においてはペレットと被覆管の間げきについて、福島第一原発の場合「約0・20o」と規定されている。さらに運転中の燃料のふるまいについて以下のように記述されている。

「ペレットは、初期段階においてわずかながら体積が減少する。これを焼きしまりと呼んでいる。更に燃焼が進むと核分裂による気体状及び固体状の核分裂生成物がペレット内に蓄積すること等により、ペレット体積が増大する。これを照射スエリングと呼んでいる。

 燃料寿命を通じて、熱膨張と照射スエリングにより被覆管に過大な歪みが生じないよう、ペレット内部空孔及びペレットと被覆管の間隔を決める。」(甲第三七号証ノ一)

 このように「被覆管に過大な歪み生じないよう」にするために間隔を制御し、その間隔を守るためにペレットの外径を規定している。

 運転初期には、燃料ペレットは焼きしまりによっていったん体積が減少し、これにより、ペレットと被覆管との間隔は広がる。運転が進むにつれて被覆管は外側が約70気圧の圧力に押されて縮み、燃料ペレットは内部に核分裂によって生じる気体やアルファ線によるヘリウムガスなどがたまるために膨張し、途中で隙間がなくなり、さらにこの膨張におされて被覆管も一緒に膨張していく。

 ペレットの外径は大きすぎても小さすぎてもいけない。ペレット外径が大きいと早く隙間がなくなり、被覆管に歪みを生じさせ、小穴(ピンホール)や亀裂が入り「損傷燃料」となる原因になる。「損傷燃料」は、たとえ通常運転時には表面化しなくとも、原発に異常が発生すると、たやすく損傷する。異常時には、多数の被覆管が同時に壊れて、内部の核分裂生成物が冷却水中に漏れ出たり、逆に内部に冷却水が入って「浸水燃料」となり、これが水蒸気爆発を起こす危険もある。

 一方、ペレット外径が小さいと隙間が埋まるのが遅れて熱がペレット内にこもり、制御棒飛び出し事故などの場合に燃料ペレットがコナゴナに破裂して被覆管を破って冷却水中に飛び出す危険性がある。

 さらに、外径をそろえておく必要がある。外径がかなり異なるペレットを並べた場合、外径の大きい部分ではペレットが被覆管に密着するため被覆管を圧迫し、外径の小さいところでは隙間ができて熱伝達が悪くなりペレットに熱がこもって破裂する危険が生じる。

 

三 ペレット外径の測定と検査

 以上に述べたことからも、製造時にペレット外径を決められた値にそろえ、それを測定・検査することによって確認することが安全上非常に重要となる。

 ベルゴ社において東京電力向けMOX燃料が製造された際にも、BNFL社において関西電力向けMOX燃料を製造していた際にも、燃料ペレットの測定は3回にわたって行われていた。

1 全数測定

 これは、品質管理検査に先だって、製造工程の最後に行われるもので、BNFL社、ベルゴ社ともに、レーザーマイクロメーターという装置で自動的に測定を行っていた。この測定は、「研削後のペレットの外径寸法については、製造部門が全数レーザー測定装置で測定し、仕様値をはずれるようなペレットについて自動的に取り除くとともに、製造管理上の管理値(内側管理:仕様公差0・02oよりも小さい値)を超えた場合には、仕様を満足するように研削機の微調整を実施している。」(甲第五号証P5)とあるように、製造工程管理のための測定であり、品質を保証するための「検査」ではない。「全数」とあるので、あたかもこれにより不良ペレットは100%取り除かれるような印象をうけるが、後で述べるように現実には多くの不良ペレットがはじかれずに、次の抜取検査の工程に通過していた。

 この全数測定について、BNFL社では、1つのペレットにつき、上部、中部、下部の3点を自動測定、自動記録し、3点のうち1点でも仕様範囲外があれば、そのペレットをはねていた。ベルゴ社における全数測定が何点で、はねていた基準は何であったかについて東京電力は明らかにしていない。

 ところで、東京電力が、ベルゴ社における福島第一原発向けMOX燃料の製造にあたって、全てのペレットについて全数測定が行われていたことをはじめて確認したのは今年に入ってからである。東京電力が2月報告書を出すまでは、通産省は、福島第一原発用燃料は6割が全数測定を行っており、残りの4割は100個に1個の割合で抜き取ったものを手動で測定していたと東京電力から聞いている、と説明していた。通産省ならびに東京電力は、ベルゴ社の製造技術は高く全数測定を必要としない、とも述べていた。なぜ、全数測定を全てのペレットで行っていた事実が今年になるまでわからなかったのか。設計、契約、あるいは製造前段階で協議がされなかったのか、疑問である。さらに、ベルゴ社の製造技術が高いと述べていたその根拠も明らかにされていない。

2 抜取検査

 全数測定に続いて行われる、品質管理のために製造会社が行う検査が、品質管理上の合否を決める検査である。ペレット外径については、抜取検査が行われた。

 BNFL社における高浜原発用MOX燃料の製造に際しては、一つのロットから200個の抜取検査が行われた。一つのロットには約3000個のペレットがあり、その内200個をアトランダムに抜き取って手動検査(自動測定と同等な精密度の測定器を使って)を行った。このとき、全数測定と同様に3点が測定され、抜取検査の場合は、その平均値をとり、この値が200個を抜き取った内仕様範囲をはずれるものが5個以内であればそのロット全体を合格とし、6個以上であればそのロット全体を不合格とする、という手順で行われていた。

 東京電力用の燃料を製造していたベルゴ社では、製造時に同時に焼結されたかたまりをロットと称している。抜取検査の際の単位はブレンダーと称しており、一つのロットの中には複数個のブレンダーが存在する。従って、抜取検査に際してはBNFL社で言うところのロットがベルゴ社で言うところのブレンダーとなる。ロットごとのブレンダー数はいまだに明らかにされていない。

 ベルゴ社では、約7000個のペレットを含んだ1つのブレンダーから、32個以上を抜取り、上部、中部、下部の3点(最初の3ブレンダーは6点)を測定していた。そして仕様値をはずれるペレットが1つでもあった場合は、そのブレンダー全体を不合格にするという、抜取方法をとっていた。

3 立会検査

 更に第三次の測定として、製造中に、電力会社と元請けメーカー(関西電力用は三菱重工業、東京電力用は東芝)による立会検査が行われた。これは、抜取検査が行われている際に、電力会社あるいは元請けメーカーが工場に出向き、立会のもとで、抜取検査が終わったペレットの一部をもう一度検査させ、製造会社の行った抜取検査が正しく行われたかどうかを確認するものである。

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第四 MOX燃料ペレット製造・検査の本質的な困難

一 通産省の諮問機関も検査の困難性を認めている

 MOX燃料の場合、ウラン燃料と比べても厳重な管理が求められ、それにより、燃料検査が難しくなる。このことは、通産省が電気事業審議会基本部会の中に設けた諮問機関であるBNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会(以下「BNFL検討委員会」という)が今年6月22日にまとめた報告の中で次のように指摘している。

「燃料検査の容易性の観点からはウラン燃料とMOX燃料との間には大きな差がある。MOX燃料に関しては、従業員の被曝・健康管理、臨界管理、計量管理及び核物質防護の点で、ウラン燃料とは比較にならない厳重な管理が求められる。このため、製造工程、検査工程全体がグローブボックス等によって周辺環境から隔離されるとともに、焼結・切削加工されたペレットについては速やかに品質管理検査を行い燃料棒に挿入した後、端栓の溶接が行われ、燃料棒の形で厳重な保管管理が行われる。ペレット製造工程での加工量が数十キログラム単位で行われるMOX燃料については、これがトン単位で行われるウラン燃料に比べ、ロット単位の母集団が小さくかつ多種になる結果、検査頻度そのものも高くなる。」(甲第一六号証P12)

 MOX燃料はウラン燃料にはないような放射線を出し、プルトニウムが放射能の毒性を高める。さらにこれが核分裂しやすい物質であることから、臨界に至らないように厳重に管理する必要がある。そこで、製造工程、検査工程全体を環境と隔離して、従業員の被曝を低減しなければならない。検査はグローブボックス内で行われ、少量ずつの検査が頻繁にあり、それぞれの検査には迅速さが要求される。検査員は非常に困難な作業を強いられる。

 東京電力原子力企画部長が原子力専門誌に書いた文章でも、同様の問題が指摘されている(甲第二〇号証P31)。

 

二 関西電力も認めている製造における困難

 製造上の困難について言えば、関西電力11月最終報告書に次のような記述がある。

「MOX燃料ペレットの外径研削は、臨界管理等の観点より、国内PWRのウラン燃料ペレットの湿式研削とは異なり、乾式で行われることから外径調整が難しいため、全数自動測定を行い、外径仕様外のペレットを除外し、この工程での歩留まりを向上させるために実施している。」(甲第二五号証P3)

 プルトニウムを含むペレットの研削の場合は、プルトニウムが少量でも臨界をおこすことから、ウランだけの場合のように水をかけながら研削を行う湿式にすると、水による中性子減速のために東海村で起きたような臨界事故を起こすおそれがある。それゆえ、水をかけない乾式で行うが、その場合には、研削による熱を水で奪うことができずに、熱でペレットが膨張することによって、外径にばらつきが生じてしまう。との内容である。

 

三 ベルゴ社にも共通する製造・検査の困難さ

 こうした製造・検査に際しての困難が、BNFL社での不正の基盤にあるが、ここで述べた困難は、MOX燃料の特性に由来するもので、製造にあたっては普遍的に存在すると考えるべきである。決してBNFL社だけにある問題ではない。

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第二章 東京電力2月報告書の問題点

第一 品質保証を確認する唯一の資料

 通産省は、BNFL社における高浜原発3号機用MOX燃料データの不正発覚をうけて、ベルギーのベルゴ社で製造していた東京電力福島第一原発3号機用のMOX燃料について、その品質管理状況についての調査を東京電力に命じ、東京電力は9月21日に調査報告書をまとめた。さらに12月に、関西電力が高浜原発4号機用MOX燃料でも不正があったことを認め、その使用を断念すると、通産省は再度の調査を命じた。福島第一原発3号機のMOX燃料は今年1月にも装荷される予定であったが、福島県知事の「国民の理解は後退した」との意向も受け、燃料の装荷は延期されている(甲第二九号証ノ七、九)。再調査の内容は東京電力によって東京電力2月報告書にまとめられ、通産省に提出された。

 通産省は12月の時点でほぼ完了していた福島第一原発3号機用MOX燃料に関しての輸入燃料体検査の審査手続きを中断した。通産省は、国会答弁書において「通商産業省においては、福島三号機用の輸入燃料体検査申請書及びその添付書類の書類審査、外観検査等に加え、東電報告書も参考として、発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令(昭和四十年通商産業省令第六十三号)に適合するか否かについて審査している。」(甲第一四号証ノ二)と記しており、東京電力2月報告書を合否判定の資料としている。輸入燃料体検査申請の際の添付書類には、品質保証データを含むものはなく、この報告書は、東京電力がベルゴ社で製造したMOX燃料の品質保証を確認するためのほとんど唯一の資料といってもよい。

 しかしこの報告書は、BNFL事件において関西電力が高浜4号機用MOX燃料には「不正はない」と結論付け、通産省もすぐにそれを妥当と判断した関西電力11月最終報告書(甲第二五号証)と比較しても、調査内容、データ内容、分析方法において遥かに劣っている。関西電力と通産省は11月最終報告書において誤った判断を下した。それよりも劣る東京電力2月報告書において、正しい判断を期待することはできない。東京電力があくまでMOX燃料を使用するというのであれば、東京電力は、少なくともBNFL社ならびに関西電力が示したものと同程度の情報を開示し、不正がないことを客観的に示さなければならないが、これを行っていない。

 さらに、今年7月18日付で通産省から出された国会答弁書(甲第一四号証ノ二)と比較すると、後に示すように東京電力の再調査ならびに情報開示が不十分であることばかりか、東京電力2月報告書自身にごまかしがあり、これが信頼のおけないものであることが明確となる。国会答弁書は通産省が作成したものでありながら、ほとんどが東京電力からの伝聞として記述されており、東京電力の見解を知ることができるものとなっている。

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第二 測定そのものでの不正の疑義

一 不正がないとする5つの根拠

 通産省は、東京電力2月報告書において、東京電力がベルゴ社では検査に不正がなかった根拠を東京電力になりかわって以下の5点にまとめている。…東電報告書によれば「ベルゴ社においては、品質部門が製造部門から独立していること、MOX燃料ペレットの外径測定とその評価が別の人間によって行われていること、東京電力の社員等の立会いによる再度のMOX燃料ペレットの外径測定が行われていること、内部監査が計画的に実施されていること並びに従業員の教育及び訓練が適切に行われていることが確認されており、不正に対する抑止効果が働いていると考えている。」(甲第一四号証ノ二)

 5点のうち、1点目の品質部門の独立、4点目の内部監査の実施、5点目の従業員の教育及び訓練については、一般的な品質管理体制についてのもので、これで具体的な不正に対する抑止を示したことにはならない。現に事件をおこしたBNFL社でも内部監査が行われていたし、従業員の教育及び訓練もなされていた。また品質部門が独立しただけで不正がなくなるとは考えにくい。

 

二 BNFL社とベルゴ社の抜取検査の方法

 5点のうち2点目「MOX燃料ペレットの外径測定とその評価が別の人間によって行われている」については、不正の具体的な形態が関係している。

 BNFL社では抜取検査において、検査員は2名がチームを組み、一人の検査員がグローブボックス内でレーザー計測装置を用いて外径を測定した数値を、すぐ横にいる別の検査員がキーボードでコンピュータに打ち込んでいた。BNFL事件の発端となった高浜原発3号機用MOX燃料データねつ造の手口は、抜取検査において検査員がペレットの測定を行わず、すでに検査を終えている別のロットのデータをコンピュータ上でコピーして検査を済ませてしまった、というものである。

 ベルゴ社での抜取検査では、検査員はグローブボックス内に手を入れ、手作業でピンセットを使ってペレットの位置決めなどを行い、測定装置が外径を測定して測定値をカウンターに表示しそれを検査員が確認する。そして検査員が足でスイッチを踏むと測定結果が自動的にコンピュータに送られ、結果を別の検査員が別の場所で評価して、合格判定をするというやり方をとっていた。東京電力は2月報告書においてベルゴ社の外径検査について「外径データの測定結果がそのままコンピュータへ転送される構成となっており、検査員による手入力は行われない。従って、検査員がデータをねつ造するようなことはありえない」(甲第五号証P22)としている。

 

三 測定そのものでの不正の疑義

 しかしベルゴ社での測定方法は、別の不正の形態を浮上させる。問題は、検査員は表示される測定値を確認した上でデータを送っている点にある(甲第八号証)。検査員がスイッチを踏まなければ、測定値はデータとしては送られず、何の記録も残らない。逆に何度も何度もスイッチを踏めば、コンピュータにアクセスしなくても、いくらでもコピーができてしまう。これは検査員の意思によってデータが変更されうる形態であり、意図的に不正な測定を行いうる形態といえる(甲第七号証P12)。

 また、ベルゴ社では、抜き取った32個(以上)のペレットのうち1つでも不良品が見つかれば、約7000個のペレット全てを不合格にするという抜取方式を採っており、ペレットを1つも不合格にできない、というプレッシャーが検査員にかかっていたと思われる。

 

四 BNFL社で新たに発覚した2つの不正

 これが単なる想像ではないことは、BNFL社で今年3月になって発覚した、2件の別の形態での不正が示している。

1 「植木鉢型」あるいは「小麦の束型」ペレット問題

 今年3月、BNFL社において、製造時にペレットの一方の端が膨らんだ「植木鉢型」あるいは「小麦の束」型の形状をしたペレットが多く発生し、これを合格させるために、上・中・下部の3点を測定する全数測定の測定点を操作し、中央部付近だけで測定するよう測定装置を操作していた、という事実が英国紙によって明らかにされた。それによると「…MOX製造が…始まって間もなく、ペレットは研削過程から「植木鉢型」をして現れることが明らかになった。…多くのペレットの一方の端が著しく広いことを意味しており、したがって自動レーザーマイクロメーターは安全仕様の許容範囲から外れる多くをはねた。」(甲第三十二号証P15)

 BNFL社は「上」と「下」の読みの位置を、全数測定において、ペレットの端ではなく、中央の読みの位置から2ミリメートルの範囲内になるように変更した。関西電力はこれを9月にBNFL社から報告を受け、福井県に報告していた。

2 90度回転再測定問題

 抜取検査において、外径の測定時に仕様値をわずかに超えるものがある場合に、これを90度回転させて測定し直していた。これは3月1日に公表された関西電力BNFL調査中間報告ではじめて明らかにされた。これによると「管理者への聞き取り調査の結果、以下の事項が判明した。(a)検査員は、測定値が規格値をわずかに超えた場合には、ペレットを90度回転させて再度測定していたことがあった。この方法は要領書に記載されていなかった。…」(甲第三一号証)

 

五 ベルゴ社でも発生しうる不正

 東京電力のMOX燃料を製造していたベルゴ社においても

@ 形状が異常なペレットが製造されたのではないか

A 外径の検査時に、形状が異常なペレット、あるいは合格範囲からはずれるペレットを無理に合格させるために、測定そのもので不正が行われていたのではないか

 との疑問を抱かざるを得ない。国会答弁書によると「通産省においては、いわゆる「植木鉢型」の形状をしたペレットが製造されたか否かについては確認していない」としている。

 またAについて次のようなやり方が考えられる。具体的には、仕様範囲を外れる数値が出た場合には、ペレットを回転させ、移動させながら合格するまで測る、あるいは「植木鉢型」あるいは「小麦の束型」等、形状に異常があるペレットを合格させるために、中央部付近だけで3点の測定をする、あるいは合格する数値が出た同じ場所で3点を測定する、合格値が出ないペレットはデータを送らずに通過させ、別のペレットで多めに測定する。

 

六 東京電力の立会検査では不正の抑止にはならない

 そこで5点のうち3点目「東京電力の社員等の立会いによる再度のMOX燃料ペレットの外径測定が行われていること」が問題となる。これで不正は抑止されるのだろうか。ところが、東京電力によると立会検査時の測定点数は、1つのペレットにつき1点(以上)でしかない。1点では、上・中・下部の測定点が規定どおりであったか、同じ場所で3回測定するといったようなことがなかったのか、あるいは回転させて再測定されていないか等を確認することはできない。それにBNFL社でも、関西電力と三菱重工業による立会検査が行われていたが、これで不正を抑止することはできなかった。

 

七 不正を抑止するものはなにもない

 逆に国会答弁書には「ベルゴ社においては、燃料ペレットの位置を変えるなどしてその外径を不正に計測することを防止するための機械的なシステムは備わっていないと聞いている」さらに「ベルゴ社においては、福島三号機用及び柏崎刈羽三号機用MOX燃料ペレットについて、上・中・下部の三ヶ所で外径を測定することは品質管理計画書に規定されているが、その具体的な測定位置を規定している文書はないと聞いている」さらに「通産省においては、東京電力から、ベルゴ社においては、福島三号機用及び柏崎刈羽三号機用MOX燃料ペレットについて、上・中・下部の三ヶ所の具体的な測定位置を定めた規定はないと聞いている」とある。これでは不正を抑止するものはなにもなく、検査員は好きな場所を勝手に測ってもよい、ということになる。

 

八 データの分析も行っていない

 となると、ペレットの形状異常や測定時の不正の有無を確認する必要があり、測定データを分析しなければならない。測定点については、90度回転前後や、上・中・下部の測定点別データの検討、その一致度合いの確認が最低限必要となる。ところが、東京電力は再調査にあたって、BNFL事件で最初に発覚したデータのコピーの形態だけを想定している。データを別のブレンダーに照らしての一致度合いの確認は行っている(甲第五号証P23)が、国会答弁書によると90度回転前後や、上・中・下部の測定点別データの一致度合いは「確認していない」(甲第一四号証ノ二)。

 BNFL事件において、関西電力は、最初に発覚した高浜原発3号機の不正と全く同じパターンの不正しか調査せずに評価を誤った。またBNFL検討委員会に提出した資料において、BNFL事件に際して調査をコピーに絞ったことを問題点に挙げている(甲第一五号証Fダッシュ)。この反省に立つのであれば、東京電力に他のパターンの不正についても調査するよう指示しなければならないはずだが、これを行っていない。東京電力は関西電力の誤りを繰り返そうとしている。このような報告では不正の疑義は払拭されず、品質保証を確認する事はできない。

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第三 不正を覆い隠す加工されたデータ

一 データの公開を拒むベルゴ社

 再調査の中でも最も重要だと思われるのが、測定データの確認である。しかし、東京電力も通産省も「ベルゴ社の現地に行けば見ることができる」というだけで満足し、データの持ち出しを拒否するベルゴ社に従い、データの入手すらしていないという(甲第五号証P24)。たとえ現地で確認できたとしても、数値の羅列を見ただけでは本当にデータを「見た」ことにはならず、データを統計的に分析するためのソフトウェアに入力して確認しなければならないが、そうした作業は、すべてベルゴ社まかせである。BNFL事件において、BNFL社の判断を鵜呑みにした関西電力・通産省と全く同じ態度である。

 この東京電力・通産省の態度は、BNFL事件において、事件の解明に測定データ統計的分析が重大な役割を果たしたという事実も全く無視している。

 

二 BNFL事件で示されたデータの統計的分析の有効性

1 市民団体による分析と不正の証拠

 BNFL事件の過程で、関西で活動する市民団体「グリーン・アクション(代表 アイリーン・美緒子・スミス)」ならびに「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(代表 小山英之)」は、関西電力が高浜原発4号機用燃料データには「不正がない」としていることに対し、2つの問題を提起していた。第1は、高浜原発4号機用燃料データでも、他のロットとデータが一致する度合いが大きく、不正が疑われたロットP824をはじめ、コピー流用という不正が行われたのではないかという点。第2は、関西電力はペレット外径データの不正としては、コピー流用だけを問題視し、他の不正にはまったく目が向けていなかったという点である。

 両市民団体は、いずれにせよもし検査員の何らかの人為的介入がデータにあるとすれば、それは必ずペレット外径に関する200個の抜取検査データの分布に反映するはずであり、その分布が親の全数測定データの構造と著しく異なる不自然な形をとるであろうと予想し、この2つのデータの比較が、この場合の不正の有無に関するある種の「物的証拠」となるはずだとの考えに至った。両市民団体は福井県議会の要請を通じて公表された全数測定データと抜取検査データをコンピュータに打ちこみ、分布をグラフに表して比較検討するという作業を行った。

2 ロットP824の例

 ロットP824を例にとる。横軸にはペレットの上中下平均の外径が取られている。縦軸にはある平均外径をもつペレットが全ペレットの何%を占めているかが表されている。全数測定データと抜取検査データの分布を比較すると、図のように明らかに構造が異なっている。

 

<図1>

 

 全数分布にはなだらかな山しかないが、抜取分布にはシャープな山が2つあり、左側の辺りの数値もひどく異なっている。さらにこれを定量的に比べるために検定の理論を適用してみると、このままの比較で両分布が同一分布である確率は0・1%よりもはるかに小さいという結論に達した。こうした考察から両市民団体は、この2つは同じ分布であるという関西電力の主張を否定し、同一分布である確率は無視できるほどに小さいので、人為的介入、恐らくこの場合はロットP823からのデータ流用があったのはほぼ確実であると主張した。

3 別の形態の不正も指摘

 両市民団体はさらに一般に、全数測定分布に対して抜取検査データの分布全体が大きい側にずれる傾向のあることを指摘し、この傾向を基盤として、仕様上限をわずかに超える数値を無理に仕様値内に押し込めた形跡があるロットがあることを指摘し、こうしてコピー流用以外にも別の形態での不正があると主張した。

4 不正をグラフの「加工」でごまかそうとした関西電力

 両市民団体がこの点を要望書にまとめ、昨年10月20日関西電力と福井県に提出した(甲第二九号証ノ二〜四)。これに対し、関西電力は11月1日、関西電力11月最終報告と同時に出した「グリーン・アクションおよび美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会からの要望書に対する回答」(甲第三〇号証)(以下「回答」という)において、図のようなグラフ<図2>を示した。

 

<図2>

 

 このグラフは基本的には両市民団体が示したグラフと同じ内容だが、縦軸に割合ではなく、ペレットの現数をとっている。全数検査では対象ペレット数が3758であるのでそのうち各外径をもつペレット数も当然かなり大きな値になり、高い棒グラフとなっている。他方、抜取データの方は全体で200個しかないのでグラフも非常に低くなっている。まるで3700mの富士山と200mの丘を比較しているようである。問題にしているのは抜取分布にどんな異常性があるかという点であるのに、これでは肝心のその特性が隠れてしまい、どんな異常も異常なしに見えてしまうものであった。

 関西電力のグラフについて、両団体はもう一つの問題点を指摘した。それは元のデータが1ミクロン(千分の一ミリメートル)刻みになっているのに対し、関西電力のグラフの横軸が2ミクロン刻みになっていた点である。そのためグラフの高さは隣同士の2つの値を加えたものになっているはずだが、どちらの隣と合体させたのかも判然とせず、関西電力に問い合わせたが答えられなかった。

 関西電力は、2つは同じ分布をしており、「P824については、製造途中で工程が一時停止しており、その前後でペレット外径の分布が大きく2つに分かれている。このことは、全数測定結果、抜取検査結果両方の分布で表われている」と述べていた。しかし全数測定結果についてはグラフをどう見ても、分布が2つに分かれているようには見えない。両市民団体が関西電力にどこで分かれているかを聞いても、指示すことはできなかった。

 関西電力が不正はないと主張している証拠は、地を這うような2つのグラフがよく似ているという点だけであった。その2つのグラフのうち、折れ線グラフは200個の実数抜取分布であり、他方の影付き棒グラフは全数3758個のデータから200個をランダムに抜き取った例を示している。すなわち全数データから200個の抜取りをランダムにやってみると、その中に実際の抜取り分布に近い分布をもつものがあらわれたと言っていた。両市民団体は、それが現れたのは、1万回の抜取り試行を行ったただの1例を示しているに過ぎず、関西電力が言う「代表例」ではないこと、抜取り検査数値がねつ造されているかどうかを見るのに一万回中の一例だけを示しても意味が無いことを指摘した。さらによく似た形というものの、地を這うような2つのグラフを示して感想を述べているだけで、どのような基準でそう判断したのか全く示されていない、と指摘していた。

 この図はもともと、関西電力が9月24日の中間報告において、ロットP824には不正がない事を証明するものとして示したものである。今みたように、その提示の仕方は、割合ではなくペレット数そのもの(度数)を縦軸にとり、横軸のきざみを粗くするといった加工を施して、不正の存在をわざと隠すものであった。これに対し両市民団体は、2つのデータを比較するという方法においては同じ土俵に乗りながら、同じ基準で比較されしかも正確なグラフを示すことによって、関西電力と逆の結論を導いたのである。

5 BNFL事件は統計的分析の有効性を示した

 最終的にロットP824については、600データ中約308データで、データのコピーがなされていたことが明らかになった。また後に高浜原発4号機用MOX燃料について、関西電力が公式に不正を認めた3つのロットは全て、統計的分析を行うと異常が認められた。そして関西電力自身が、今年3月1日付中間報告参考資料U(甲第三一号証)においては、昨年市民団体が提起したのと同じ方法を採用して、不正の確定した3つのロット以外にも疑わしいロットがあることを解析して見せている。NIIやBNFL社も不正の有無を確認するために種々の統計的分析を行っており、事件の経緯は、こうした測定データの統計的な分析が大変重要で、不正の有無の判定に有効な手段となることを立証した。

 

三 不正がなく品質が保証される事を客観的にデータを用いて示すべき

 BNFL事件に照らしてみても、東京電力がMOX燃料の品質管理状況の再調査で、まずやらなければならないことは、測定データに基づいて不正がない事を客観的に示すことである。事件の経過から、分布の比較等そのために有効な方法も示されている。

東京電力の2月報告書には、そうした経緯を意識してか、外径測定結果についてのベルゴ社が作成した3種類のヒストグラムが添付されており、これが唯一測定データに基づいた検討材料といえるものとなっている。

 

四 東京電力が示したヒストグラム

 3種類のヒストグラムは以下のようなものである。

1 立会検査データの比較(甲第五号証P59)

 

<図3>

 

 東京電力が立会検査をおこなったブレンダー(70ブレンダー中14ブレンダー448ペレット)の測定結果と、同じブレンダーでベルゴ社が行った測定結果の比較。

 横軸はペレットの外径が千分の四ミリメートル刻みで仕様範囲内が10個に区分されている。縦軸は、それぞれの区分にあるデータの割合が示されている。東電が立会ったブレンダーは福島第一原発向けでは14ブレンダーだが、この分布図では、その14ブレンダー分がすべて足し合わされた上で規格化されている。ベルゴ社のデータは同じブレンダーを測定したものだが、同じく14ブレンダー分が足し合わされた上で規格化されている。しかもベルゴ社と東電では1ブレンダー当たりの抜取ペレット数は必ずしも同数ではなく、さらにベルゴ社は1つのペレットにつき3点、東電は1点(以上)と異なる。分布図ではそうした測定データ全てが足し合わされている。3種類の分布図の中では唯一、添付資料ではなく、本文中に添付されている。

2 ベルゴ社の外径分布図(全体)(甲第五号証P62)

 

<図4>

 

 ベルゴ社が抜取検査を行ったペレット2852個全てのデータの分布図である。東電によると、各ペレットについては、上中下の3点で測定、さらにはじめの3ブレンダーについては、ペレットを90度回転させて上中下と測る計6点の測定を行っていた。これら全て合わせて総データ数9016をすべて足し合わせた分布図である。縦軸は割合ではなく、データ数、横軸はペレット外径だが、やはり千分の四ミリメートル刻みで表されている。他に平均値とデータの最大値と最小値が記されている。

3 ベルゴ社の外径分布図(ロットごと)(甲第五号証P63)

 

<図5>

 

 報告書の添付資料にはさらにロットごとの分布図がついている。先に述べたように、東京電力の場合、抜取の単位はブレンダーで、ロットには複数のブレンダーが含まれている。福島第一原発の場合、ロット数16に対して、ブレンダー数が70であるので、1ロットには、平均しても4程度のブレンダーが含まれることになる。

 

五 データの「加工」が不正を覆い隠す

 以上の分布図から不正が無い事を確認することはできない。これはベルゴ社が作成したものだが、以下の2点の「加工」が施されている。

@ 付録のデータは、製造ロットごとのものだが、外径検査の抜取の単位はブレンダーである。製造ロットはいくつかのブレンダーを含み、ロットごとのデータではそれが足し合わされている。

A 外径の測定精度は千分の一ミリメートルである。しかし、付録の「ヒストグラム」は千分の四ミリメートル単位にまとめてある。

 さらに

B 比較の対象となるべき全数測定のデータが全くない。

 こうした「加工」とデータの欠落が、不正の有無を、データの分布から推定するのを困難にしている。

 

六 データを足し合わせる「加工」

 抜取り検査は製造ロットごとではなく、ブレンダーごとに行われている。よって分布形状の分析は製造ロットごとではなく、ブレンダーごとに行うべきである。

 ここに2つのデータの分布図があり、さらにその2つのデータを足し合わせて作ったデータがあったとする。前者があればそこから後者を再現することは可能だが、後者から前者を再現することは不可能であることは自明の理である。しかも、もとのデータが2つといわず、数多くある場合には、組み合わせ次第で、意図した分布形状を人為的に作り出すことも可能である。

 これは一例であるが、東京電力2月報告書に示されているロットごとの分布図から、ロット1595とロット1597を取り出し、規格化して足し合わせた分布を作成してみると<図6>のようになり、足し合わせた分布は、図3で示した抜取りデータ全体の分布にほぼ一致する。2つのロットの分布形状はロット1595は大きめ、ロット1597は小さめに偏った形状をしており、それぞれの抜取りデータ全体の分布とは形状が異なるが、足し合わせたデータだけを示せば、2つのロットはどちらも抜取りデータ全体の分布とほぼ同じ分布であると錯覚させることができるであろう。

 

<図6>

 

 ここで言いたいのは、東京電力は複数のブレンダーを足し合わせた分布形状しか示していないが、そこに含まれるブレンダーごとの足し合わされる前の分布形状が、足し合わされた後のロットごとの分布形状と同じ形状をしているという保証はなく、中には、山の数や形、山の位置が正常でないブレンダーが存在する可能性が否定できないということである。

 

七 刻みを粗くする「加工」

 四Aで指摘した刻みを粗くするやり方は、関西電力が9月の中間報告、回答ならびに11月最終報告おいて示したグラフで、分布形状の異常を分かりにくくするために用いたのと同じ手法である。この「加工」がいかに不正を覆い隠すのかは、BNFL社で不正が表われているグラフに、ベルゴ社が行ったのと同じ加工を施してみれば一目瞭然である。ロットP824では、抜取データにみられた2つの山が、1つになってしまい、コピーの痕跡が消えてしまう<図7>。

 

<図7>

 

八 全数測定データについて

 抜取データに異常がないかどうかは、抜取データを全数測定データと比較することで行うことができる。立会検査の図では、設計値と呼ばれる曲線を比較の対象としているが、この曲線は、設計上許される最悪の分布を理論的に引いたものに過ぎず、比較の対象とはならない。

 全数測定データについて、東京電力は、それを入手するどころか存在の有無の確認すらしていない。通産省はこれまで全数測定記録については、上書きされて消去されるので存在しないとの説明を行ってきた。しかし東京電力2月報告書に記載のある「レーザー測定装置認定報告書」はその機能等を確認するために定期的に出されている社内文書であり、これを作成するための基礎資料として全数測定データが非公式に打出され、保存されている可能性は否定できない。

 

九 データの分析を東京電力も通産省も行っていない

 東電2月報告書の今回の再確認結果の中に「ヒストグラムを確認」したとの記述があるが、東京電力は、付録にある「ヒストグラム」と同じものであると述べている。しかしこれまでの考察から明らかにこのヒストグラムの形状から不正の有無を判断することはできない。このことは東電自身も、ヒストグラムはロットごとに足し合わされているので、ここから確認できるのは測定データが仕様値内に収まっていることだけであることを認めている。であればわざわざ分布図にする必要がない。なぜ分布図にしたのかと聞くと、東京電力は、全体のデータだけでは満足してもらえないと考え、ベルゴ社と協議して、もう少し細かいデータをということで出したと述べ、これが形ばかりのものであると認めている。これは国民を愚弄するものである。忘れてはならないのは、データの統計的分析を東京電力自身が行っておらず、よって通産省も確認していないということである。こうした姿勢はBNFL検討委員会において通産省が自らの問題点として挙げている「独自の分析を行うべきであった」との反省にも反している(甲第一五号証Fダッシュ)。

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第四 抜取規格とは異なるやり方をしていた

一 東京電力2月報告書のごまかし

 抜取検査において、抜取率や判定基準は、安全審査指針に従い、規格に準拠して決めなければならない。BNFL社での抜取検査では、JIS規格の定める抜取の規格(JISZ9015)に準拠している。この規格では、ロットの大きさ、AQL(合格品質水準)によって、サンプル文字を一覧表から選び、そのサンプル文字ごとの別の表から抜取数や判定方法を決めていくのだが、BNFL社で用いたのは、サンプル文字G、サンプル数200、仕様外が5個までは合格、6個以上は不合格(5・6判定と呼ばれる)、なみ検査でAQL1%、というものであった。AQLというのは品質の度合いを示すもので「不良率の上限」とされている数値である。ただしそれは建前であって、実際に不良率の上限を示しているかどうかは全く不明である。関西電力は、燃料損傷率を1%未満にしなければならないという、安全審査上の要求からAQL1%のこの検査方法を決めた、としている。この検査に合格しないと、その燃料が安全審査における安全保証を満たすものであることを示すことはできない。

 ベルゴ社の場合はどうであったか。東京電力2月報告書によると、抜取検査については、「この抜取率はMIL―STD―105D(JISZ9015に相当)に基づいて設定した」(甲第五号証P6)との記述がある。さらに東京電力2月報告の説明資料として東京電力原子力管理部が作成した資料(甲第七号証P14)には、ベルゴ社の「品質保証部門において下記のとおりの規格・基準に準拠した抜き取り検査を実施しています。」とあり、検査規格としてMIL―STD―105Dと明記している。MIL―STD―105D(以下「MIL規格」という)とは米軍が定めた抜取検査の手順を示す公的な規格の一つで、JISZ9015と同様の抜取検査についての規格である。さらに東京電力2月報告書によると、MIL−STDの抜取規格はベルゴ社の文書体系では上流側の文書と位置付けられている(甲第五号証P9)。こうした記述からは、ベルゴ社では公的規格に従ってきちんと検査手順が定められていたように受け取られる。ところが国会答弁書には「東京電力から、MOX燃料ペレットの抜取検査に係る規定はベルゴ社と東京電力と協議の上決められたものであり、その中のペレットの外径の検査方法については、抜取率についてのみMIL規格を参考に定めたと聞いている。」(甲第一四号証ノ二)とあり、さらに、ベルゴ社および東京電力がいかに抜取規格に従わなかったかが随所で述べられている。東京電力2月報告書の記述にはごまかしがあり信憑性が疑われる。

 

二 抜取数がばらばら

 東京電力用MOX燃料のペレット外径検査に用いた抜取方法は、規格に従えば1ブレンダー約7000個のペレットから32個を抜取るものであるが、実際には、各号機の最初の3ブレンダーについては80個以上、その他は32個以上とし、ブレンダーによって何種類かの抜取数を用いていた(甲第五号証P20)。国会答弁書には「通商産業省においては、東京電力から、ベルゴ社の品質管理計画書には、ブレンダーごとのMOX燃料ペレットの抜取個数は三十二個と記載されているが、ベルゴ社においては、実際には、三十二個以上のMOX燃料ペレットを抜き取り検査していると聞いている。」とあり、規格はおろか、品質管理計画書にも従っていなかった。また「ベルゴ社の作業指示書には、各ブレンダーごとのMOX燃料ペレットの抜取個数が記載されている」(甲第一四号証ノ二)とあるが、誰が何を基準にそれぞれのブレンダーについての抜取数を決めていたのか、なぜ抜取数をブレンダーによって変えるのか、については「通商産業省においては、東京電力から、具体的な抜取個数についてはベルゴ社が決定しているが、その基準は承知していないと聞いている。」(甲第一四号証ノ二)と返答している。抜取数が変動することによって生じる不正の余地についても検討されていない。また、東京電力は、ロットごとのブレンダー数、ブレンダーごとの抜取数、データ数といった基本的な数値も明らかにしていない。

 

三 不合格後の切替え手順に従わず

 ベルゴ社ではMIL規格のうち、約7000個のペレットを含む1ブレンダーから32個(以上)を抜取り、1つでも仕様外のペレットがあった場合には、そのブレンダーを不合格にする判定(0・1判定)が適用されていた。これは抜取数が少ない「ゆるい検査」の条件である。規格では「ゆるい検査」を行っているときに、1つでも不合格のブレンダーが存在した場合には、それ以降の検査を「なみ検査」(80個の抜取りが必要となる)に切替えなければならない(甲第三八号証ノ一)。しかしベルゴ社は、国会答弁書に「通商産業省においては、東京電力から、不合格ブレンダー発生以降の抜取検査の方法は、発生以前と同一であるが、これは、ベルゴ社と東京電力が協議の上でこのように取り決めたことによるものであり、MIL規格に従ったものではないと聞いている。」とあるように柏崎刈羽原発用MOX燃料の品質管理の抜取検査において、不合格となったブレンダーが存在したにもかかわらず、その後の検査を「なみ検査」に切替えていない。

 

四 不合格ブレンダーの扱い

 不合格ブレンダーそのものの扱いも、「…再研削の必要がないと判断されたMOX燃料ペレットについては、全数レーザー自動計測を実施したあと、品質部門に引渡し、その上で、品質部門が再度抜取検査を行い、改めて合否判定を行うこととしており、柏崎刈羽三号機用の不合格ブレンダーの扱いについてもこれに従ったが、これはMIL規格に従ったものではないと聞いている。」(甲第一四号証ノ二)と規格に従わないやり方で行っていた。

さらに規格に従えば不合格ブレンダーを再検査する際の抜取数は、少なくとも「なみ検査」の80個が必要となる(甲第三八号証ノ一)が、「32個以上」のままであった。

 

五 はじめから「ゆるい検査」

 規格に従えば、検査のはじめは「なみ検査」で、これの合格が続くとはじめて「ゆるい検査」に移行できる(甲第三八号証ノ一)。「ゆるい検査」に移行するためには、少なくとも10ブレンダーが連続して合格する必要がある。国会答弁書に「通商産業省においては、東京電力から、ご指摘の初検査及び再検査共に、その抜取個数は三十二個以上と聞いている。」とあるように、はじめから「ゆるい検査」を適用し、多めの抜き取りを最初の3ブレンダーでのみ行ったベルゴ社の場合、明らかにこれに従っていない。

六 そもそも「抜取率についてのみMIL規格を参考に定めた」(甲第一四号証ノ二)というのは奇異である。というのはMIL規格では抜取方法を、検査水準とAQLを決めそれとロットの大きさから規格にある表にしたがい、判定基準を決める、という手続きで決めていく(甲第三八号証ノ一)のだが、そこに「抜取率」は一切登場しない。東京電力の場合、7000個から32個の抜取りとすると、抜取率は0・457%になるが、こんな数字は規格のどこにもない。

七 東京電力2月報告書の記述にはごまかしがあり信憑性が疑われる。さらに、ベルゴ社で行われた東京電力向けMOX燃料の抜取検査は、規格に準拠するように求める安全審査指針にも抵触する。

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第五 はじめから「不正の疑義」はないという姿勢に問題

一 ベルゴ社には不正の疑義はないときめつけている

 事の経緯からしても、東京電力の再調査が、BNFL事件での関西電力や通産省の対応に照らして、その反省と教訓の上に行わなければならないのは当然である。ところが、東京電力が再調査においてとっている姿勢は、BNFL事件に際しての関西電力や通産省の姿勢と全くかわりがない。関西電力と通産省がBNFL事件に際して、もっとも反省すべき点は、高浜原発3号機用MOX燃料で不正が発覚していながら、高浜原発4号機用MOX燃料については、はじめから意図的に「不正はない」との姿勢をとり、安全性を無視してあくまで装荷にこだわったことである。東京電力も「ベルゴ社には不正の疑義はない」と最初から決めつけており、同じ過ちを繰り返そうとしている。東海村臨界事故により原子力に対する不信が高まり、BNFL事件における数々の不正の事実と、通産省と関西電力の失態から、その信頼が失墜している下で、東京電力までが同じ態度をとることは許されない。こうした姿勢がいかに問題であるかは、BNFL事件の経過より明らかとなる。

 

二 BNFL事件における関西電力と通産省の対応の問題点

1 昨年9月、高浜原発3号機用MOX燃料において、検査データにねつ造があったことが発覚した。ところが、関西電力と通産省はその時すでに日本近海にあった高浜原発4号機用燃料については、はじめから「不正はない」との立場に立ち、疑惑を解明する努力を行わなかった。

2 関西電力9月24日の中間報告で、すでに高浜原発4号機用燃料には「不正はない」と結論していた。不正がないことを示すために、不正の存在を隠すようにデータに加工を施した分布図を提示した。通産省もすぐにこれを妥当と認めた。

3 NIIが、高浜原発4号機用燃料についても不正の疑義を持っていることを、通産省は9月21日(甲第二七号証)、関西電力もおそくとも10月20日の時点で知った(甲第四〇号証P7)が、あくまでBNFL社の判断を意図的に優先し、不正の疑義を積極的に抑え込んだ。

4 関西電力は、市民団体がデータの統計的分析により不正の証拠を見出し、その指摘を受けても、あくまで「不正はない」と言い張った。

5 不正の手口については、高浜原発3号機であったようなデータのコピー以外の不正を行う動機などありえないとの立場をとり続けた。

6 関西電力は11月1日に最終報告をまとめ、高浜4号機用MOX燃料に不正はない、との結論を示すと、通産省は即座にこれを妥当なものと認めた。小山英之ら関西、福井の住民212名は11月19日、高浜原発4号機のMOX燃料使用差止仮処分を大阪地方裁判所に申立てた。

7 通産省は一方で、10月の段階で専門家から、高浜原発4号機用MOX燃料についてもデータに統計的疑義があるとの指摘を受けていた。通産省が不正の疑義を確信していたことは、装荷の手続きを進めるために、不正の疑義がある抜取検査データを使わなくとも全数測定データの確認により安全性は確保される、という論拠に立ち国の検査を継続しようと画策したことからも明らかである。

8 市民団体の指摘に反論できなかった関西電力は、裁判において「不正はない」ことの証明をあきらめ、通産省と同じ論拠に立って安全性が確保されることを主張した。しかしこの論拠は安全審査の手続きを無視したものであるだけでなく、実際の検査の成績は、全数測定だけでは不良品を十分に排除できないことを明らかにしていた。

9 12月半ば、NIIの疑義が表沙汰になり、仮処分の決定の期日が迫る中、関西電力は追い詰められてようやく高浜原発4号機用MOX燃料8体全ての使用を断念した。後に高浜原発4号機用MOX燃料については、3つのロットで不正があったと関西電力も認めている。(甲第二九号証ノ一)

 

三 事件の反省をしていない関西電力・通産省

1 BNFL社の問題点を列挙するだけの関西電力

 事件はBNFL社の起こした不祥事だが、その後の経過は関西電力と通産省の不祥事であった。関西電力・通産省の誤った態度により、あやうくデータに不正があり、安全上問題があるMOX燃料を装荷・運転し、福井県ならびに関西をはじめの多くの住民を事故の危険に晒すところであった。

 関西電力と通産省がBNFL事件から反省し、再発防止策を講じるのであれば、高浜原発4号機用MOX燃料について、なぜはじめから「不正はない」という態度をとり続けたのか、その動機と目的を自己分析するところから始めなければならない。しかし関西電力は、6月14日に出した「BNFL製MOX燃料問題に関する調査結果について」と題する報告書(甲第四〇号証)において、このような自己分析を何もしておらず、BNFL社の問題点を列挙しているだけである。報告書の中で謝罪しているのは「プルサーマル計画がスタートでつまずく結果となった」ためであり、住民を危険にさらそうとしたことについての反省は一切ない。こんな状態ではいくらか改善策を並べてもおよそ信頼できるものにはならない。東京電力も、同じプルサーマルをはじめようとする電気事業者として、関西電力と同じ姿勢であるのか、それともそうでないのかが厳しく問われている。

2 東京電力のMOX燃料について検討しない通産省

 通産省は電気事業審議会にBNFL検討委員会を設け、委員会は6月22日に、不正の再発防止策を含めた報告をとりまとめている。通産省は委員会に提出した資料において、BNFL事件において、関西電力11月報告書(甲第二五号証)を妥当とした判断の誤りを認め、その調査、分析の不十分さを認めている。しかし、肝心の、なぜ高浜原発4号機用MOX燃料について、不正の疑義を知りながら、使用することを追求したのかについての自己分析、反省はない。そしてもう一つの問題は、東京電力のMOX燃料についての対応である。

 BNFL検討委員会で議論していた再発防止策の中心が、通産省の輸入燃料体検査の見直しであったのに、通産省はまさに検査が進行中の東京電力福島第一原発3号機用MOX燃料の問題については、これを全く議論に乗せなかった。我々は、東京電力の件も議論するよう要請したが、(甲第一五号証A)結局検討委員会の委員には東京電力の再調査の2月報告書すら配られなかった。目前で具体的に進行中のものに目をつぶっているようでは、いくら改善策を議論しても実効性が疑わしいものにしかならない。

 通産省は7月14日に通産省令を改定し、輸入燃料体検査体制の変更についての通達を出した。これまでと違うのは、製造前にも国が検査を行い品質管理についての書類を確認することと、事業者による確認に際しては第三者機関のチェックを受けることを義務づける程度である。依然として「品質保証システムが健全に機能していることを前提」としている。

 さらに、通産省は「ベルゴ社には不正の疑義はない」ことを理由に、東京電力用MOX燃料を製造したベルゴ社のデータの必要性を認めておらず、データが要求できる立場にありながら、要求もしていない。つまり反省に立っておらず、調査、分析を放棄している。例え専有情報だとしても、保障措置・安全上、国際的に取扱いに問題のあるプルトニウム加工についての安全性を確認するために必要なデータ・資料の提出を拒否することは許されない。

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第六 東京電力2月報告書では品質保証を確認できない

 以上の点を踏まえれば、東京電力2月報告書では、福島第一原発3号機用MOX燃料の品質保証は確認できず、ベルゴ社製MOX燃料でもデータ不正が存在するのではないかという疑惑が浮かぶのは当然のことである。

 BNFL事件の場合、関西電力が不正を覆い隠そうとしても、それでも高浜原発4号機の不正が明らかになったのは、福井県議会の要請により、検査データが公開されていたからである。不正の抑制には情報開示が重要であることは、BNFL検討委員会において専門家も指摘している。

 ところがベルゴ社については、ベルゴ社が行った外径検査や全数測定の元データはおろか、東京電力が行った立会検査のデータも公表されていない。それどころか、立会検査のデータ数、ブレンダーごとの抜取数や不合格ブレンダー数といた基本的な数値さえ明らかになっていない。

 ベルゴ社と東京電力が、データを開示せず、開示する際にはわざわざ手間暇かけて、不正があっても分からないように加工しているのは、元のデータを出せばBNFL事件での高浜原発4号機の二の舞になることをおそれてのこととしか考えられない。我々は、データに異常が実際にあって、それを隠すためにやっていると確信する。

 その疑惑を払拭するように東京電力がデータを公開して努力するのが当然のことである。逆にもしそのような努力をしない場合には、データ不正があったとみなすべきであり、BNFL事件を踏まえれば、司法がこのような立場をとるのは至極当然のことである。

 東京電力はデータ不正疑惑を払拭するようなデータを、国民に対してだけではなく、規制当局である通産省に対してさえも提出しておらず、通産省も確認しようとしない。これでは安全性の判断が国としても不可能であり、したがって安全性は保証され得ない。

 それどころか、公開された数少ないデータの範囲内からでもデータ不正が行われたと推認されるべき証拠を示すことができる。以下に我々が、不正があると確信する根拠を示すこととする。

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第三章 ベルゴ社の不正は明らかである(甲第二号証)

第一 不合格となったブレンダーはゼロ

 東京電力は今年3月24日の市民との交渉で、抜取検査において、柏崎刈羽原発3号機用MOX燃料では不合格となったブレンダーが存在したが、福島第一原発3号機用MOX燃料では不合格となったブレンダーは一つもなかったことを明らかにした。これはBNFL社での不合格率と比較しても異常なことである。何らかの人為的操作によって、不合格ペレットの全てが合格品にされてしまったと十分推認される。

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第二 不合格率と不良率の考察

一 BNFL社での抜取検査の不合格率と不良率の推定

 BNFL社では、1ロット約3000個のペレットから200個を抜取り、仕様外が5個までならそのロットを合格とし、6個以上であればロット全体を不合格とする判定法(5・6判定)を用いていた。これはJISの抜取規格にしたがったもので、AQL(合格品質水準)は1%であった。AQLというのは品質の度合いを示すもので「不良率の上限」とされている数値である。しかしそれは建前であって、実際に不良率の上限を示しているかどうかは全く不明である。高浜原発4号機用MOX燃料についての抜取検査を分析すると、全部で199ロットの検査を行い、その内6個以上の仕様外ペレットが見つかり、不合格となったロットが7ロットあった。不合格率は7÷119より約3・5%である。ここから抜取検査前に全てのペレットのうち、どのくらいの割合の不良ペレット含んでいたのかという不良率を、OC曲線を使った一般的な手法で計算してみると約1・25%となる。実際には、検査に不正があったので不良率はもっと大きい可能性があり、不正を認められた3ロットを不合格ロットに含めると約1・35%となる。BNFL社では抜取検査前の全数計測によって仕様外ペレットをはねていたが、それでもまだ1%を超える不良ペレットが存在していたことになる。関西電力は不良率1%を安全審査上要求される最低水準としていた。全数計測により品質が確認できるというのは誤りであり、抜取検査を正常に行ってはじめて規定の品質水準が得られることをあらためて示すものである。

 

二 東京電力での不良率の考察

 ベルゴ社において東京電力用MOX燃料製造に際して、ペレットの外径についての抜取検査は、1ブレンダー約7000個のペレットから32個以上を抜取り、1つでも仕様外があればそのブレンダーを不合格とする0・1判定と呼ばれる方法で行っていた。福島第一原発3号機用燃料の抜取検査で不合格ブレンダーがなかったということは、抜取検査において、仕様を外れるペレットが一つも存在しなかったことを意味する。

 ベルゴ社とBNFL社において、ペレットの外径に影響する研削工程をはじめ、製造工程に一段の差異があることは示されていない。よって、ベルゴ社においてもBNFL社と同程度の不良率があったとみなすのが自然である。ところが、BNFL社に近い約1%の不良率を想定すると、東京電力の場合、32個ずつの抜取りで不合格率は約28%、実際には1ブレンダーあたり平均して40・7個の抜取りを行っており、この条件で計算すると不合格率は約36%にも達する。70ブレンダー中、実に約25ブレンダーが不合格となってしまう。

 東京電力は、AQL0・15%の水準を設定したことについて「ベルゴニュークリア社に関する製造・検査の経験を考慮し、妥当な水準として設定したものである。」(東京電力2月報告書)としている。「製造・検査の経験」の中身は全く示されていないが、仮に東京電力の言うことをすべて認め、ベルゴ社の製造能力はBNFL社に比べても非常にすぐれており、実際の不良率がBNFL社の約10分の1である0・15%程度であったので、抜取検査のAQLも0・15%を設定した、と仮定してみる。すると、この非常に低い不良率で抜取数を32個と想定しても、東京電力の抜取方式では不合格率が約5%、70ブレンダー中3〜4ブレンダーが不合格となってしまう。

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第三 東京電力での不合格ゼロの異常性は明らか

 以上の考察から、福島第一原発3号機用MOX燃料の検査において不合格ブレンダーがゼロであったというのは、いかに異常なことであるかがわかる。BNFL社とベルゴ社でそれほどまでに製造能力に違いがあるとは考えられず、検査方法に問題があるとみなすしかない。抜取検査においていくつかのブレンダーでそれぞれ1個程度ずつ表われる仕様外のペレットを何らかの不正な操作によって検査をパスさせ、全てのブレンダーを合格させてしまったことは明らかである。

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第四 0・1判定の特異性

 なお、ベルゴ社の用いていた0・1判定というやり方が特異なものであることを指摘しておきたい。

 ベルゴ社での抜取方法は、抜取数が少ないことと0・1判定であることが特徴だが、抜取規格の解説書(MIL−STD−105D解説「日本規格管理方式研究会」)によると、規格には「0→1の特例」として「合格判定個数0の一回抜取方式のかわりに、対応する合格判定個数1の一回抜取方式(したがって試料の大キサはおおきくなる)を使う場合があるということが…示されている。…合格判定個数0の一回抜取方式はOC曲線が非常に寝ていて、良いロットと悪いロットの判別力があまりよくない」(甲第三八号証ノ二)とある。

 OC曲線が非常に寝ていて判別力がよくない、というのは、実際には優秀なロットを不合格にしたり、逆に実際には不良率が高いロットを合格させてしまう危険性が高いことを意味する。だから抜取数を増やして0・1判定でないやり方を用いた方がよい、と指摘している。

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第四章 立証責任

一 本件は、債務者が所有する原子力発電所において使用する燃料の健全性を問題とし、健全性に欠ける燃料を使用した場合の危険性を争点にするものである。具体的に本件MOX燃料ペレットに関する資料はすべて債務者が保持している。また、原子力発電所の安全性に関する全資料も債務者が保持している。以上の状況を考えれば、具体的な立証の分配、負担は次のとおりになされるべきである。

二 債権者らは、平成六年一月三一日仙台地方裁判所においてなされた東北電力女川原発訴訟第一審判決が明言した以下の原則に立つべきであると主張する。

同判決は立証責任について、原告側に

「原告らは、@原子力発電所の運転による放射性物質の発生、A原子力発電所の平常運転時及び事故時における右放射性物質の外部への排出の可能性、B右放射性物質の拡散の可能性、C右放射性物質の原告らの身体への到達の可能性D右放射性物質に起因する放射線による被害発生の可能性について、立証責任を負うべきことになる」

とし、被告側に対して、

「右のとおり、原告らは、既に前記@ないしDの点について原告らの必要な立証を行っていること、本件原子力発電所の安全性に関する資料をすべて被告の側が保持していることなどの点を考慮すると、本件原子力発電所の安全性については、被告の側において、まず、その安全性に欠ける点のないことについて、相当の根拠を示し、かつ、非公開の資料を含む必要な資料を提出したうえで立証する必要があり、被告が右立証を尽くさない場合には、本件原子力発電所に安全性に欠ける点があることが事実上推定(推認)されるものというべきである」とした。「そして、被告において、本件原子力発電所の安全性について必要とされる立証を尽くした場合には、安全性に欠ける点があることについての右の事実上の推定は破れ、原告らにおいて、安全性に欠ける点があることについて更なる立証を行わなければならないものと解すべきである」と述べる(判例時報一四八二号二三頁)。

右判断は極めて妥当であり、同判決に対する評釈においても

「本判決では、被告に対し『非公開の資料を含む必要な資料の提出』を要求している部分も注目される。判決は、原発の安全性の立証について電力会社側の積極的な協力を要求しているものと思われる。判決理由中の本件一号機で生じた不具合等を論じた箇所において、被告による具体的データ開示の不十分さが批判されている。さらに、判決理由第九章(本件原子力発電所の必要性)の末尾の箇所でも、被告側の情報提供の不十分さに言及されている。本判決の立証責任論は、主張・立証について事実上被告の責務を加重したに留まるが、安全性の主張・立証について被告電力会社の側に要請される部分は大きいと言えよう」と高く評価されている(ジュリスト重要判例行政法5)(甲第三六号証ノ一)。

三 これを、本件の争点について考えると、まず検査データが適正であるか否かについては、債権者らは具体的な根拠を示してデータが適正でなく規格外ペレットが混入していることを強く推認させる証拠を既に提出した。これに反証することは債務者側の責任である。ところが、本件訴訟提起前にも検査データ開示するのになんの支障もないはずであるのにデータをベルギーの工場の外に持ち出すことが困難であるとして提出を拒否してきた。このような対応は真実はデータを入手していながら提出しない口実として述べている疑いがある。債務者において、本件検査が適正になされたことを証明する確かな証拠を入手して提出されないかぎり、データに不正があったとの事実が確定されるべきである。

 第二に債権者らにおいて、規格外ペレットが混入する燃料を装荷して運転すれば、安全評価基準による安全評価はなされておらず、安全評価において事故が生じた場合にも放射能を閉じこめることができるという防護機能の保証がない可能性を立証すれば、債務者において、放射能が外部に排出されないこと、安全性は保証されていることを、相当の根拠を示し、かつ、非公開の資料を含む必要な資料を提出したうえで立証する必要があり、債務者において右立証を尽くさない場合には、放射能排出の危険性があることが事実上推定されるというべきである。

 第三に、債権者らにおいて科学的知見に基づく文献を基礎に被害の可能性までを立証すれば、債務者において、右可能性を否定する立証をなさないならば債権者らの被害の可能性の主張が認められなければならない。

以上の通りであり、債権者の申立はこれを認められるべきである。

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第五章 事故による被害の深刻性

一 MOX燃料の使用は安全上不利である

 現在利用されている軽水炉(沸騰水型炉および加圧水型炉)はすべて、核物理特性上ウランを燃料とすることに最適化されて設計されたものである。一般にウランだけを燃料とするよりもMOX燃料を使った場合の方が安全上不利な条件がいくつも重なり、したがって苛酷事故を起こす危険性が非常に高くなる。

具体的には、

@ 燃料ペレットの融点がプルトニウムの添加される量にほぼ比例して低くなる。

A 燃料棒の熱流速限界の余裕が切りつめられる。

B 制御棒価値や原子炉水中のホウ素価値が下がる。

C ガス状の核分裂生成物の放出量が増える。

D 原子炉内の構造物に高速の中性子があたるため損傷の度合いが激しくなる。

E 遅発中性子割合が減り,即発中性子寿命が短くなるため,原子炉出力の制御がより難しくなる。

といったことが問題となりうる。沸騰水型炉(BWR)の場合には、

F 原子炉の反応度のボイド(水泡)に対する係数の絶対値が大きくなる。

G 中性子の分布が不安定になり,原子炉の制御がいっそう難しくなる。

などさらに安全上不利な点が加わり、ボイドのつぶれが圧力の急上昇などによって起こっただけでも、反応度事故が引き起こされ、燃料棒や炉心の部分的な損傷につながる可能性がウラン燃料炉心の場合より確実に高くなる。この上さらに、設計条件を超えるMOX燃料、品質の劣るMOX燃料などが使用されるとなれば、事故の危険性がもう一段高まる。(甲第三号証)

 

二 不正なMOX燃料ペレットが混入した場合の影響

 不正な大きさのMOX燃料ペレットが使用されていれば、炉心に挿入されていた制御棒が落下する事故が起きたときに(これは安全審査の対象にもなっている事故である)、破損してしまう燃料棒の数や損傷の程度が大きくなるであろう。このことはさらに、破損した燃料によって冷却材や再挿入しようとした制御棒の進路までふさぎ,高圧力下での炉心溶融事故を引き起こす可能性も否定できない。

 その場合には、溶融した炉心によって圧力容器が破壊されるだけでなく、格納容器や一部の工学的安全装置の機能喪失を招き、環境中に大量の放射能を放出・拡散させることになる。

 福島第一原発3号機でこのような苛酷事故(シビアアクシデント)が起きた場合の災害評価について考えてみる。

 

三 災害評価の条件

 原子力資料情報室の高木仁三郎と上澤千尋は、国際MOX 燃料評価プロジェクトの最終報告書『MOX総合評価』(七つ森書館、1988年)(甲第三号証)において、電気出力110万キロワットの沸騰水型炉におけるMOX燃料使用における被曝災害の評価を行っている。同じ手法で行った出力78・4万キロワットの福島第一原発3号機に対する結果をここに示す。

 アメリカ合衆国の原子力委員会のWASH−1400(ラスムッセン報告、1975年)とよばれる事故災害評価報告の手法に基づいて、原子力発電所の巨大事故時に原子炉からエアロゾル化した放射性核種が環境中に放出され広がり、それにより近隣住民に引き起こされる被曝線量の計算を行った。

 MOX燃料を使用したの炉心には、プルトニウムをはじめ、アメリシウムやキュリウムの同位体など人体に多大な内部被曝をもたらすアクチノイドが、ウラン燃料だけの炉心に比べて、10倍程度多く含まれており、このため健康への影響が桁違いに大きなものになる。

 この事故評価に際して,採用した事故のシナリオは次のようなものである。BWR−1の事故をベースに、MOX燃料使用時の事故規模の拡大を考慮して、チェルノブイリ級のランタノイドの放出を想定すべきと考えるので、ランタノイド元素の放出量を炉心内蔵量の4%とした。

*BWR−1タイプ事故(WASH−1400)

ECCS(緊急炉心冷却系)を含む炉心冷却系が故障し、炉心が溶融する。溶融した炉心は原子炉の底に落下し、底に残っていた水分と反応して水素爆発を起こす。格納容器が破壊され、溶融した燃料のかなりの量が大気中に放出される。

 

四 ウラン燃料の2倍の被曝線量

 計算の結果、この事故想定により、単純に原子炉から同距離同方位にいる人の被曝線量はMOX燃料を使用する原子炉の方がウラン燃料だけの時に比べて、2倍以上にも達することがわかった。

 同じ被害を与える距離で両者を比べると、BWR−1タイプ事故では、ウラン燃料だけの原子炉でも全員死亡の範囲は原子炉から15・3キロメートル(6シーベルト)、半数死亡は29・0キロメートル(3シーベルト)、顕著な急性障害が現れる範囲も67・0キロメートル(1シーベルト)とすでに大きな災害であるが、MOX燃料を使用した場合にはさらに大きなものとなる。MOX燃料を使用した原子炉では,全員死亡の範囲は原子炉から32・9キロメートル、半数死亡は56・4キロメートル、顕著な急性障害が現れる範囲は126・3キロメートルにも拡大する。MOX燃料を使用した原子炉では、同じ災害規模の範囲の距離がウラン燃料だけの原子炉に比べ、2倍に拡大しており、これは被害を受ける面積で比べると実に4倍にも拡大していることを意味する。居住地や農地を放棄せざるを得ないことなど、社会的な影響を考慮に入れた被害規模はさらに大きなものとなるであろう。

 

五 福島第一原発3号機で事故が起きた場合100万人以上ががん死

 また、より具体的な人体への健康影響をみるために、福島第一原発3号機で巨大事故が起き、首都圏に向かって、一定の気象条件の下(風速毎秒4メートル、天候は晴れ、大気安定度D)で放射能が広がった場合を考える。

 原子炉から風下約300キロまでに放射能が広がって住民が被曝した結果、MOX燃料を使用した原子炉では将来的に100万人以上の人々がガンによって死に至る健康被害が出てくることが予想される。これはウラン燃料だけの原子炉の場合に比べ、2倍以上の深刻な被害が首都圏にまで及ぼすことを意味している。

 ここに示したのは必ずしも最大の被害を与える事故ではない(甲第四号証P116)。炉心の損傷が引き起こされるような事故の一例についての考察結果であって,気象条件や人口の分布,また事故の想定規模次第ではもっと大きな被害結果がでるであろうことは想像に難くない。

 炉心の損傷が起きたときには、東京電力や国の事故解析では、現実的な事故にはとても対応できない。このことは、安全審査指針(発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針など)による格納機能がいつでも保持されるという条件、すなわち放射能の大量放出はあり得ないとすることが安全審査上の不備であるかを示すものである。

 MOX燃料を使うことだけでも危険性が増すのに、不正につくられた疑いのある燃料ペレットが使用される燃料棒中に使われているとなれば、そのときの事故の危険性は膨らむばかりである。

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第六章 保全の必要性

一 本件MOX燃料はすでに福島第一原発3号機内にある。国が、すでに作業を終えている輸入燃料体検査について合格の判断を示し、県の了解を得ることができれば、いつでも装荷し運転することが可能な状態にある。

二 東京電力は、沸騰水型原発では日本ではじめてMOX燃料を本格的に使用する原子炉として、福島第一原発3号機を予定した理由として、それが80万キロワット級の中型の原子炉であることを挙げていた。これは、かつて1986年当時に存在したプルサーマルの本格利用の前段階に行う「実用規模実証計画」を行う炉の大きさに照合する。

三 来年2月には110万キロワット級の大型の原子炉である柏崎刈羽原発3号機でMOX燃料の装荷が予定されている。柏崎刈羽原発3号機については、ベルギーでの燃料の製造をほぼ完了し、輸送許可申請が米国政府に対して既になされており、年内ないしは年明け早々には輸送が行われるものとみられている。

四 東京電力はこれまでの経緯から80万キロワット級の福島第一原発3号機で先にプルサーマルを実施する予定であると思われ、来年春の定期点検を待たずに、早ければ今年9月にも、遅くとも年内にも装荷される可能性があり、一刻の猶予も許されない状態に至っている。

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第七章 おわりに(我々はなぜこの仮処分を申立てたか)

第一 高浜原発MOX燃料使用の中止と電力会社・通産省に対する信用の失墜

一 内外の反対の中で進められてきたプルサーマル計画

 プルトニウムを商業利用しようとするプルサーマル計画は、1995年12月の「もんじゅ」事故の後、閣議決定を経て2010年までに16〜18機、10電力で実施することを電力業界が発表し、関西電力の原発2機、債務者である東京電力の原発2機で先行実施するとして早速準備体制に入った。しかし地元はもちろん消費地においても強い反対の声が起こり広がったため、2電力は予定どおりに進行することができなかった。

 多大なエネルギーを注ぎつつ、ようやく海外へ委託加工した初のMOX燃料を日本に向けて出航するところまでこぎつけて、年内にはプルサーマルが開始される手はずとなった。この輸送は核物質防護上、戦後では例のない武装輸送船により無寄港輸送となったが、通過各国から抗議の声が上がり、日本のプルサーマルに反対する声は海外へと広がった。

 

二 高浜原発3号機用MOX燃料データに不正

 こうした摩擦を生じながら進められていたプルサーマル計画に大きな壁が立ちふさがったのは、輸送船が日本に向かっていたその最中のことである。関西電力のプルサーマル実施の二番目に予定されていた高浜原発3号機用MOX燃料の品質データに不正が発覚したのである。製造元はBNFL社である。

 同じ工場で製造され、日本に向かっている高浜原発4号機用MOX燃料の品質データに不正はないのかということが次の問題となった。関西電力は、9月24日に中間報告を発表し、高浜原発3号機について22ロットにおいて不正を確認したとし、高浜原発4号機については疑わしいロット一つ(ロット・ナンバーP824)が見つかったが、不正ではなかったと断定してしまった。

 

三 高浜原発4号機用燃料

 高浜原発4号機に対する英国政府への通産省からの問い合わせに対し、NIIは、疑義が認められるため調査続行の予定と、9月21日に知らせてきた。関西電力用MOX燃料の日本到着予定一週間前、右中間報告提出のわずか2日前のことである。だが通産省はこれを無視した。英国規制局よりもMOX燃料製造元であるBNFLおよび関西電力を信用し、疑義の指摘よりも不正はないとの、事業者の報告の方を採用したのである。

 

四 不正の疑いを否定した関西電力及び通産省

 さらなる調査の後、11月1日関西電力は最終報告書をまとめた。100ページ余りの同報告書のうち30ページ近くをさいて、疑義の指摘されていた高浜原発4号機のロットP824の元データや集約データ、など相当量のデータを掲載し分析した上で不正とは認められないと判定した。この報告書はただちに国により妥当と了解され、地元議会にも報告された。製造元(BNFL社)、元請(三菱重工業)発注元(関西電力)、規制局(通産省)および原子力安全委員会は、そろって高浜原発4号機用MOX燃料に対する不正の疑いを否定してしまったのであった。

 

五 住民による提訴

 これに先立ち、地元福井県議会は、すべてのデータ公開を求め、これに応えた関西電力は、県庁で1カ月間、および大阪本社においても長期にわたり、1万5千ページに及ぶデータを公開した。市民団体によるデータ分析は、右報告書に掲載されていた P824についても不正の疑いが濃い、という右報告書とは正反対の結論に達した。これらをもとに、11月19日、関西・福井の住民が大阪地裁に高浜4号用MOX燃料の使用差止仮処分の申立を行なった。

 

六 高浜4号用MOXにも不正の逆転劇

 それからわずか1カ月半後の12月半ば、先の1ロットを含む高浜原発4号機用燃料についても不正があったことを、関西電力、通産省も認めざるを得ない事態となった。こうした状況から関電はすでに高浜原発に搬入されていた4号機用MOX燃料はすべて使用中止と決定し、通産省は、関西電力と東京電力に対し、再調査を指示した。本件の債務者東京電力は年明けに予定していた福島でのプルサーマル開始延期を決定した。

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第二 ベルギー製東京電力用MOX燃料にも疑惑

一 東京電力用MOX燃料に不正はないのか

 ベルゴ社へ製造委託したのは東京電力の福島第一原発3号機および柏崎刈羽原発3号機用のMOX燃料である。前者は昨年9月、高浜原発4号機用とペアを組んで武装輸送船で輸送され、現在、福島第一原発3号機内に保管されている。問題は、この福島第一原発用MOX燃料や柏崎刈羽用MOX燃料には高浜原発3号・4号機のように不正は行なわれていないのかどうかである。

二 不審な点の多い東京電力の調査報告書

 昨年9月、関西電力用BNFL社製MOX燃料における不正発覚のさいに、通産省は東京電力に対しても調査を要請している。このときは、東京電力はわずか1週間で結果をまとめ9月21日、ベルゴ社では、不正はないと報告した。

 12月に指示を受けた再調査については、今年2月24日に東京電力2月報告書をまとめ、やはり不正はみられないとした。東京電力の報告書はいずれもきわめて主観的な記述に終始し、データはごく少量、それも不必要な加工を施したものであって、とうてい客観的とは言えないものである。推論を含み、一方では必要欠くべからざる記述やデータに欠ける、きわめて不完全、不備な報告書である。

三 不自然な東京電力のデータ開示拒否

 債権者らの一部のものは地域住民として、あるいは消費者・株主として、すでに十年余り前から東京電力本社とは意見交換の場をもち、主に原子力発電関係をテーマに100回近い話し合いを重ね事故の説明をはじめ、不十分ながらも情報の提供を受けてきた。

 このような経験に照らせば東京電力は情報開示に特に非協力的な会社であるとも思えない。むしろ、事故に関する情報などは関西電力よりも公開に協力的な姿勢を示してきた。ところが、本件のMOX燃料の件に関して、昨年12月に通産省から指示を受けて再調査中の間は、いっさい回答を拒否し、2月に報告書を発表してから一カ月後、ようやく説明を受けることができた。そして、報告書と同様、肝心なことは製造元ベルゴ社の専有情報であるとして、回答はなされなかったのである。この点は6月の株主総会にあっても特に変わりはなかった。

 このような債務者東京電力の対応はどう考えても異常である。もし東京電力に本件MOX燃料に不正がないことを納得してもらおうとする真摯な姿勢があるならば、少なくとも、関西電力のようにMOX燃料に関する元データを示して、弁明があってしかるべきである。

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第三 東京電力福島用MOX燃料の使用差止を求める理由

一 規制当局としての責任を放棄した通産省

 関西電力用MOX燃料について、通産省は、関西の市民団体からの要望書の形で、統計的解析結果を示されてはじめて専門家に相談し、統計的に不正が否定できないことを知ることとなったが、東京電力用MOX燃料についても、電力会社の言い分を鵜呑みにするばかりで専門家に相談しようともしていない。

 東京電力の報告書を、裁判に訴え公の評価にさらさなければならないのは、このような理由による。

 

二 品質保証データにおける不正の影響の重大性

 関西電力用MOX燃料における不正が、品質保証のためのデータに対してなされた事実はきわめて重大である。品質保証に偽りがあれば、直接安全性に影響してくるからである。まして東京電力にしろ関西電力にしろ、はじめてのMOX燃料製造である。また、MOX燃料としてはプルトニウムの富化度、均一性に次いで安全上重要な燃料単位(ペレット)の外径測定について不正は行なわれており、実測せずに過去のデータの流用、ねつ造、改ざんをしたのであった。

 品質を保証するデータに偽りがあるということは、いったいどういう不良品が混じっているか保証の限りではない、ということである。不正が生じたということは、すべてに通じてその品質管理の体制に問題があるということであり、他にも不正・不備が疑われる状況にある。また、不正が明白となったものを合格扱いにしたり使用を許してはならない。不正があっても安全性に問題はないなどとして使用を許すようなやり方はもはや許されない。このようなやり方は安全規制の存在意義そのものを否定するものであり、不正の温床を育てるようなものである。

 というわけで、その製造元の製品の安全は全く保証できない。

 

三 品質が保証されることを立証する責任は東京電力にある。

 品質保証というものは、客観的に証明できなければならないのはいうまでもない。ベルゴ社の製造による東京電力のMOX燃料に対しては、不正の起こり得る状況で製造されたこと、さらには、公開されたごく限られた情報からも不正の疑いがあることを指摘することができる。一方、不正がないとする東京電力側の証明は存在しない。必要なデータの開示を含む具体的かつ客観的な品質保証は、東京電力が県民・市民に対して示すべきである。

 また、これは本来、規制当局である通産省が確認すべきところであるが、今回の高浜原発4号機を巡る失態により、その信頼が失墜している上に、東京電力の問題については、東京電力の言い分を鵜呑みにするだけという態度をとり、自ら調査しようとせず、同じ過ちを繰り返そうとしている。

 プルトニウムという、ウランよりはるかに臨界になりやすい核物質を燃料とするプルサーマルという新しい試みに着手するにあたり、その危険性に配慮し、慎重な上にも慎重な対応が不可欠である。裁判所の判断により、福島第一原発3号機用MOX燃料を使用しないよう装荷の差止を求めるものである。

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結論

 以上の通りであって、本件MOX燃料の装荷は債権者らの生命・身体に重大な危険をもたらすものであることが明らかとなった。債権者らはその人格権に基づき、債務者東京電力による本件MOX燃料の装荷を差し止めることを求める権利を有する。しかし、債務者東京電力は通産省の輸入燃料体検査に対する合格処分を得て、早ければ本年9月にも本件MOX燃料を装荷しようとしている。もし、装荷されて運転されれば、債権者らの生命・身体に取り返しのない甚大な被害が及ぶ危険性がある。よって、債権者らは本件申立に至った次第である。

 

(仮処分審理に当たっての要望)

1 本件仮処分に関する書証の多くはA4版である。これを縮小したり、折り曲げると著しく見づらいので、多くの書証はA4版のままとさせていただいた。

2 本件の審尋の実施に当たっては債権者らが多数出席を希望していますので、ご配慮を希望いたします。

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証拠方法

一 甲第一号証 林 加奈子陳述書

二 甲第二号証 小山 英之陳述書

三 甲第三号証 「MOXプルトニウム燃料総合評価」 IMA(国際MOX燃料評価)プロジェクト最終報告

四 甲第四号証 「プルトニウム燃料産業」 クリスチアン・キュッパース ミヒャエル・ザイラー

五 甲第五号証 「福島第一原子力発電所3号機並びに柏崎刈羽原子力発電所3号機用MOX燃料に関する品質管理状況の再確認結果について」 平成12年2月 東京電力株式会社

六 甲第六号証 「福島第一原子力発電所3号機並びに柏崎刈羽原子力発電所3号機用MOX燃料に関する品質管理状況の再確認結果の概要について」 平成12年2月24日 東京電力株式会社

七 甲第七号証 「MOX燃料ペレットの製造と品質管理」 平成12年2月 東京電力株式会社 原子力管理部

八 甲第八号証 「ふくいちめーる」 2000FEB No.45 東京電力株式会社福島第一原子力発電所

九 甲第九号証 「福島第一原子力発電所3号機並びに柏崎刈羽原子力発電所3号機用MOX燃料品質管理データの確認結果について」 平成11年9月 東京電力株式会社

一〇 甲第一〇号証 「プルサーマルの安全性について」 平成9年3月17日 原子力発電安全企画審査課

一一 甲第一一号証 「福島第一3号機に於けるプルサーマルの計画と安全性」 東京電力株式会社

一二 甲第一二号証 「プルサーマルの意義について」 東京電力株式会社

一三 甲第一三号証 日本貿易統計(抄)

一四 甲第一四号証ノ一 「東京電力MOX燃料の品質保証確認に関する質問主意書」 平成12年5月30日 福島瑞穂

一五 甲第一四号証ノ二 「参議院議員福島瑞穂君提出東京電力MOX燃料の品質保証確認に関する質問に対する答弁書」 平成12年7月18日 内閣総理大臣 森 喜郎

一六 甲第一五号証 「資料 東電プルサーマル用MOX燃料疑惑」 プルサーマル公開討論会を実現する会編

一七 甲第一六号証 「電気事業審議会基本政策部会 BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会報告」 平成12年6月22日

一八 甲第一七号証 「市民対東京電力 プルサーマル公開討論会」 プルサーマル公開討論会を実現する会

一九 甲第一八号証ノ一 「プルサーマル公開討論会 市民対国」 プルサーマル公開討論会を実現する会

二〇 甲第一八号証ノ二 「市民対国 プルサーマル公開討論会 資料編」 プルサーマル公開討論会を実現する会

二一 甲第一九号証 「原爆が原発に」 高木章次

二二 甲第二〇号証 「電気事業におけるプルサーマル計画」 東京電力 服部拓也(原子力eye1998年2月号)

二三 甲第二一号証 「平成9年度 発電用新型炉等開発調査」(抄) 財団法人 エネルギー総合工学研究所

二四 甲第二二号証 「わが国におけるMOX燃料の照射実証および照射後試験」   日本原子力学会誌Vol.39 N0.2 1997

二五 甲第二三号証 「ありのままのプルトニウム」 松岡 理

二六 甲第二四号証 「プルサーマルは危険だ」 京都大学原子炉実験所助手 小林 圭二

二七 甲第二五号証 「BNFL製MOX燃料の製造時検査データに関する調査結果について(最終報告書)」 平成11年11月1日 関西電力株式会社

二八 甲第二六号証 「プルサーマル討論」 原水爆禁止日本国民会議他編

二九 甲第二七号証 「英国原子力施設検査局(NII)の書簡について」 平成12年1月17日 原子力発電安全管理課

三〇 甲第二八号証 「B.J.ファーネス 副主任検査官(原子力施設担当)から日本国大使館経済参事官イノマタ・ヒロシ宛書簡」

三一 甲第二九号証ノ一 朝日新聞 1999年12月17日記事

三二 甲第二九号証ノ二 中日新聞(福井版)1999年10月30日記事

三三 甲第二九号証ノ三 朝日新聞(福井版)1999年10月31日記事

三四 甲第二九号証ノ四 福井新聞 1999年10月21日記事

三五 甲第二九号証の五 婦人民主新聞 1999年9月15日記事

三六 甲第二九号証ノ六 毎日新聞 1999年12月10日記事

三七 甲第二九号証ノ七 朝日新聞 1999年12月17日記事

三八 甲第二九号証ノ八 福井新聞 1999年12月19日記事

三九 甲第二九号証ノ九 福島民報 1999年12月25日記事

四〇 甲第三〇号証 「グリーン・アクションおよび美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会からの要望書に対する回答」 関西電力株式会社 平成11年11月1日

四一 甲第三一号証 「BNFL製MOX燃料問題に関する調査について(中間報告書)」 平成12年3月1日 関西電力株式会社 P18〜P23

四二 甲第三二号証 「BNFLスキャンダル」 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

四三 甲第三三号証 「セラフィールドBNFLのMDFにおけるペレット直径データねつ造に関する調査、及びMOX燃料使用中の安全性への影響」

四四 甲第三四号証 「混合酸化物(MOX)核燃料の品質管理」 フランク・バーナビー博士 ショーン・バーニー

四五 甲第三五号証 「高浜MOX仮処分申立事件における陳述書」 小山 英之

四六 甲第三六号証ノ一 「女川原発訴訟第一審判決」 ジュリスト

四七 甲第三六号証ノ二 「高浜原発運転差止請求事件判決 東北電力女川原発差止請求事件判決 評釈」 判例時報1497号

四八 甲第三六号証ノ三 「東北電力女川原発訴訟判決の論点」 交告 尚史 ジュリスト

四九 甲第三七号証ノ一 「福島第一原子力発電所原子炉設置変更許可申請書」(抄) 平成10年11月4日 東京電力株式会社

五〇 甲第三七号証ノ二 「福島第一原子力発電所原子炉設置変更許可申請書一部補正」(抄) 平成11年3月5日 東京電力株式会社

五一 甲第三八号証ノ一 「アメリカ軍用規格 計数抜取検査手順と抜取表」(抄) 日本規格協会

五二 甲第三八号証ノ二 「MIL−STD−105D解説」 日本規格協会管理方式研究会 規格部会MIL分科会 P131

五三 甲第三九号証ノ一 「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」 平成2年8月30日 原子力安全委員会決定

五四 甲第三九号証ノ二 「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針」 平成2年8月30日 原子力安全委員会決定

五五 甲第四〇号証 「BNFL製MOX燃料問題に関する調査結果について」 平成12年6月14日 関西電力株式会社

五六 甲第四一号証ノ一 「詳解演習 数理統計」(抄) 守谷 栄一 1974年6月10日

五七 甲第四一号証ノ二 「品質管理講座 抜取検査 改訂版」(抄) 朝香 鉄一 1975年4月10日

五八 甲第四二号証 「プルトニウム燃料工学」(P420〜451) 日本原子力学会 

五九 甲第四三号証 「東京電力株式会社福島第一原子力発電所第96部会コメント回答(その2)」 平成11年6月 原子力発電安全規格審査課

六〇 甲第四四号証 発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて 平成10年2月 原子炉安全基準専門部会 高燃焼度燃料反応度投入事象検討小委員会

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