東電福島MOX差止裁判・MOX燃料疑惑

裁判経過:08/09申立報告(10/06up)

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東電福島MOX裁判 原告862名で申立

ふくろうの会

 

 時折雨がぱらつき、それでも暑い8月9日の福島にて、長崎プルトニウム原爆忌の午後1時30分。福島県民138名を含め、862名の原告は、東京電力MOX燃料使用差止仮処分を福島地方裁判所に申立てた。

 原告の募集を本格的に始めたのが7月22日。7月30日の段階では40名そこそこという状態であったが、8月に入って続々と委任状が集まり、あっという間に800を超え、事務処理がパンクした。リストが完成したのは申立当日の午前2時であった。福島県民の138名というのも、これが、大きな組織が集めたのはなく、MOXを止めなければという思いで、福島の人たちが、友人、知人、一人一人を説いて回り、足で集めた数であることを思うと、驚くべき数字である。締切を越えても委任状は続々と届いており、それを加えるとすでに福島県で200近く、全体では軽く1000名を超えている。事務局では、9月5日まで締切を延ばし、同内容で第2次申請を行うこととした。

 郡山市での申立報告集会において、河合弁護士がこの勢いに触れ「世の中がこの裁判をやれ、と言っている。」と発言したことが印象深く、今でも頭に残っている。東海村JCO事故が示した放射線の脅威と高まる原子力への不信、BNFL事件で関西電力に挑み勝利した裁判闘争の経験、失態をさらした関西電力と通産省の信頼の失墜、もうすでに破綻しているプルトニウム利用の現実、脱再処理・脱プルトニウムそして脱原発へと進む世界の趨勢、そうした一切が862名という数字に姿を変えて「この裁判をやれ」と言っているような気がする。最後は「これしかない」との、海渡弁護士の一つの大きな決断が事を動かした。

 当初申立の趣旨は、MOX燃料の一般的な危険性と不正の疑いをこれでもかと並べあげ、データ公開の不十分性を訴える程度になるか、と思われていた。しかし、年明けから勢力的に重ねられてきた東京電力、通産省に対する交渉、要請、そしてそれらに基づいた国会質問により、通産省、東電の「本音」を引きずり出したこと。そして、高浜MOXを止めた人小山英之さんにまでご登場願い、高浜裁判の運動の経験を骨の髄までしゃぶり尽くそうとしたことから、限られた公開資料に基づいても、不正がなされなければ起こり得ない事実を突き止めることができ、不正の行われようまで、通産省、東京電力の作成した文書から明らかにすることができた。申立書はそれを見事に描いている。申立書の主張を整理すると以下のようになる。

 

■東京電力は、MOX燃料の品質保証を確認するだけのデータを公開しておらず、東電報告書にあるデータには、わざわざ不正を覆い隠すような加工がされている。

■福島第一原発3号機用MOX燃料では、検査の際に不合格が一つもなかったという事実は異常である。製造能力がBNFL社と同等だとすると、東京電力のMOX燃料を製造したベルゴ社の検査方式では、約36%の不合格品が出てもおかしくない。不良ペレットを無理に合格させる不正があったためとしか説明できない。

■MOX燃料の製造、検査が困難であることは通産省も認めており、これはベルゴ社でも共通の問題である。しかも、イギリスの核物理学の専門家によると、ベルゴ社は、製造能力がBNFL社に同等であるどころか、劣っている。

■ベルゴ社での検査方法は、検査員が機械で寸法を測り、測定値を確認した上で、足のスイッチを押してデータをコンピュータに送っていた。測定値を見た上で足のスイッチを押すので、仕様外のデータは送らない、仕様内のデータを何度も送る、といった不正がいくらでもできる。しかも、測定位置を定めた規定はなく、不正を抑止するものはなにもない。

■東京電力には、品質保証が確認されて、不正がない事を一点の曇りもなく立証する責任がある。それができない限り、燃料の装荷は差止められてしかるべきである。

 

 裁判の動きをにらんでか、東京電力は8月1日に、国に品質管理についての書類を提出。通産省は提訴翌日の8月10日に、福島原発用の輸入燃料体検査に合格証を発行した。「受けて立とう」とでもいうのか。ますます力がはいる

 申立は地元マスコミの関心を呼び、会見には多くの記者が駈け付け、翌日の新聞には、地元版には写真付きで、こちらの訴えのポイントまで掲載され、全国版にも記事があった。テレビも当時夜と翌日朝に何度もニュースで流していた。

 関西での勢力的な運動が、高浜4号機のMOXを止めた。もしここで福島第一3号機のMOXを止める事ができれば、その影響はそこにある何体かのMOX燃料にとどまらないであろう。我々は、関西での高浜のMOXを止めた運動のうねりを受けとめ、それに乗っかって、裁判という形態での東電への闘いの火蓋を切った。この運動のうねりを何倍にもして関西、そして全国へ返すことができるよう、がんばるぞ。

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