東電福島MOX差止裁判・MOX燃料疑惑

準備書面(二)地元自治体が本件訴訟に重大な関心(10/30up)

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準備書面(二)地元自治体が本件訴訟に重大な関心
 

債権者 林 加奈子 外
債務者 東京電力株式会社

2000年10月25日

右債権者代理人 弁護士 海渡 雄一 河合 弘之 斉藤 利幸

 

一 本件申立に対する福島県の「重大な関心」

 MOX燃料の装荷については、地元自治体の合意が必要となる。特に本件MOX燃料については、福島県知事の意向を受けて装荷が延期された経緯もあり、県の対応が注視されるが、福島県知事ならびに県当局は本件申立に対し重大な関心を持って注視している。

 

1 福島県知事は、再選された後はじめての記者会見(9月19日)で本件申立に触れた。翌日の新聞報道は、「佐藤栄佐久知事は…「裁判で(東電が)丁寧に答えていくことが、理解推進につながる」と述べ、裁判も、実施時期の判断に影響するとの考えを示した。」さらに「佐藤知事は、プルサーマル計画の再開について、以前から、「県民理解の推進が必要」との姿勢を示している。記者会見で佐藤知事は、この「県民の理解推進」について、「市民が『(東電が)百パーセントチェックしているのか』ということに対し、裁判所で進めているように、品質管理などについて、一つ一つ丁寧に答えていくことで、理解が出てくる」と述べた」(甲第五六号証)と伝えている。

 

2 債権者らでつくる「東電MOX差止裁判の会」は10月3日に福島県庁を訪ね、県知事に対して

@ 司法を尊重する立場から、少なくとも仮処分についての決定が下るまでは、福島第一原発3号機用MOX燃料の装荷を、県としても認めないこと。

A 東京電力、ベルゴニュークリア社に対しより一層の情報開示を求め、周辺住民の安全を守る立場にある地元自治体として、直接の調査を行うこと。

 の2点を要請する要請書を提出した。(甲第五七号証ノ一)提出の席には、県原子力安全対策課の2名の担当者が対応したが、担当者は「知事が慎重な姿勢である」と述べ、さらに「県として裁判の行方に重大な関心を持っている」と述べた。(甲第五七号証ノ二)

 

二 新潟県と柏崎市の動き

 新潟県柏崎市の東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機では、本件MOX燃料と同じく、ベルゴ社で製造されたMOX燃料が来年2月に装荷の予定になっており、福島県と同様にその品質保証が地元自治体でも問題になっている。以下に示す事実は、データが開示されないことによる不信、不安が県民や地元住民・自治体の間に広がっていることを示すものである。

 

1 新潟県議会において「平山征夫新潟県知事は「(先に実施予定の)福島と順番が入れ替われば、受け入れられない」として「全国初」に強い拒否感を示した。」(甲第五八号証ノ一)

 

2 柏崎市の西川正純市長は、9月6日に市議会での質問に答え、市が独自で「ベルギーの燃料製造会社に書簡を送るか、私が現地に出かけて安全確認を行うことを検討したい」との意向を示した。(甲第五八号証ノ二)新聞報道は「柏崎刈羽原発へのMOX燃料導入問題では、関西電力・高浜原発でデータ改ざんなどの不正が見つかったことに加え、ベ社(ベルゴ社)が燃料データを一般公開しないで不安と不信が広がっている。市長答弁は、住民の不安感は国の調査だけでは解けないとの判断からベ社との直接接触で、不安の解消を図る考えを示したものだ。」(甲第五〇号証)と伝えている。

 10月6日、債権者らが柏崎市役所を訪れ、西川市長に「市で独立の専門家を含む調査団を組織して独自調査を行い、結果を公表して欲しい」と要請すると、市長は「データの問題では何か手立てがないかという気持ちは持っている。皆さんの意見も吟味して、当事者としての判断をさせていただきたい」と述べた。(甲第五八号証ノ二)

 

3 9月18日に柏崎市議会は「MOXデータの安全性確認を求める意見書」(以下「意見書」という)を賛成15名、反対11名、欠席3名の賛成多数で採択した。(甲第五九号証)ここで特筆すべきことは、プルサーマルについては推進の立場にある議員のうち5名が、この意見書に賛成したことである。採決の場に居た柏崎市議会議員によると、採決に際してプルサーマル推進のリーダー的役割を担ってきた議員が「原発推進、プルサーマル容認の立場も国を信じていくという立場にも変わりはないが、信頼度が100%でないとするなら言うべきことは今後とも言っていく」と発言した上で賛成に回った。(甲第六〇号証P7)推進の立場にある議員がそうした行動をとらざるをえないまでに、データを開示しないことによる不信感、不安感が住民の間に広がっていることを示すものである。

 

三 ベルギーのデッセルとモル市

 ベルゴ社のあるベルギーのデッセル町とモル市も、もう一つの「地元」である。今年9月に債権者の一人鈴木一枝らがベルギーの地元を訪ねたが、ベルゴ社の秘密主義は現地でも問題となっていることがわかった。

 

1 ベルゴ社あるモル市において9月18日に債権者らが市長を訪ね、ベルゴ社に対しデータ公開を求めるように要請すると、市長は

・市民に情報を公開しないのは無責任である。

・近代国家として他国の国民に対してこのような振る舞いを受け入れることはできない。

・モル市地域も、同じ問題を抱えており、日本の市民への連帯を表明する。

・データ公開のために、できうる限りの努力をしたい。

と述べた。(甲第六〇号証P2〜4・第六一号証)

 

2 ベルゴ社の地元の住民団体は、ベルゴ社に隣接しMOX燃料集合体の組立て工場のあるFBFC社から出る排水により、川底の汚泥が放射能で汚染されている問題で、この撤去を求める訴訟を準備している。排水の一部はベルゴ社から流れ出た可能性がある。住民団体は、「企業秘密」により情報が開示されないことに苛立ちを感じている。(甲第六〇号証P3〜4)

 ここで強調しておきたいことは、ベルゴ社の秘密主義は問題であるが、ベルゴ社に対して情報開示を要請する努力をせず、それどころかベルゴ社の側に立って、情報隠蔽を正当化する東京電力の態度は、もっと問題であるということである。このことは債権者らがベルギーを訪ねた際に、ベルゴ社に対して会って話をしたいと電話でアポイントメントをとったら、「東京電力に確認したら(債権者らとは)会わないようにと言われた」という理由で拒否された、という出来事が象徴的に示している。(甲第六〇号証P2〜3)

 

四 結論

 以上の通り、本件仮処分の審理の行方は福島県、新潟県、柏崎市などのMOX利用が計画されている地元自治体の首長や議会からも強い関心を持ってみられており、東京電力が丁寧に情報を公開して説明することを求めている。

 また、ベルゴ社の秘密主義はベルギーの現地でも問題となっていることが債権者らの調査で明らかになった。

 債務者東京電力は債権者らの主張に誠実に答え、また情報の公開に努めるべきである。そして、債務者東京電力は前回の審尋において裁判所から求められ、提出を約束した債権者主張に対する丁寧な反論を速やかに提出すべきである。

 

五 提出した書証のリスト

甲第五六号証 9月20日付 朝日新聞福島版 MOX燃料の使用時期で知事 裁判でも「理解進む」東電の丁寧な答弁を期待

甲第五七号証ノ一 福島県知事宛て要請書 10月3日 東電MOX差止裁判の会

甲第五七号証ノ二 10月4日付 河北新報福島版 MOX燃料装荷県に不許可要望

甲第五八号証ノ一 9月15日付 新潟日報 プルサーマル「全国初」に強い拒否感

甲第五〇号証 9月7日付 新潟日報 製造会社直接訪問も 柏崎市長意向表明 独自に安全確認へ

甲第五八号証ノ二 10月7日付 柏崎日報 グリーンピースなど MOX燃料の独自調査要請 西川市長に

甲第五九号証 「MOXデータの安全性確認を求める意見書」柏崎市議会 9月18日採択

甲第六〇号証 東電MOX差止裁判の会ニュース第2号 10月7日 東電MOX差止裁判の会

甲第六一号証 プレスリリース 「日本向けMOX燃料のデータを公開すべき」ベルギーのモル市市長表明 9月20日 グリーンピース・ジャパン

 

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