プルサーマル・MOX燃料疑惑

東電MOX2.24報告書を読み解く(03/08改)

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<わかりやすい>
データもないのに「不正なし」と決めつけ
<くわしい>
再測定不正疑惑
JISに従わない抜取規格
ばらばらな測定点数
プルトニウムスポット
プルトニウム富化度


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データもないのに「不正なし」と決めつけ

▲関電に続いて東電でも疑惑が浮上!それを晴らすべく、東電はMOX燃料ペレット製造の発注先であるベルギー赴き、9月、12月、1月とベルゴニュークリア社詣でを重ねていた。しかし問題のペレットの外径検査については、全数計測データはおろか、顧客である東電側が要求して行われるはずの品質管理のための抜取検査のデータすら持ち帰ることが許されなかった。ああ情けなや東電。しかし東電が2月24日に発表した報告書はまるで、ベルゴ社の宣伝パンフレット。ん?いったいどうなっているの?本当は何か問題があるから見なかったことにしているんじゃないの?不正の疑惑はますます深まるばかりである。

▲東電報告書によると、ベルゴ社での検査方法は、検査員がペレットをデジタル式マイクロメーターに乗せ、足踏みスイッチを踏むことにより測定値がコンピュータに送られる、というもの。東電は、コンピュータに送られたデータを後から操作することができないことから、関電であったようにデータをコピーするという不正はないと結論している。しかし、検査の状況は別の不正の可能性を浮上させる。東電報告書には検査の様子を描いた絵があるが、これによると明らかに検査員は表示される測定結果を確認しながら計測できる。さらに、ペレットを回転させながら測定するとの記述もある事から、合格範囲からわずかに外れるものについて、検査員がペレットを回すなり位置をずらすなどして範囲に入る測定点を探し、測定結果で確認してからスイッチを踏む、という不正が行われた可能性は否定できない。現にあのBNFL社ではこうした不正が行われていたことが、最近明らかにされている。測定結果分布を見ると、福島用では上限、柏崎用では下限ぎりぎりのペレットが存在する。それに、ベルゴ社は、抜取数が少ないかわりに1本でも不合格ペレットがあれば、1ロット約7000本すべてを捨てなければならないという検査方法を取っている。検査員は「1本も捨てられない」というプレッシャーの中での検査を強いられていたはずである。

▲抜取検査のデータは1万を越える。合格の限界点付近の分布をきちんと検討すれば、測り直しの不正の有無を確認できるかもしれない。しかし東電報告書には、大雑把な分布を示すグラフがあるだけ。詳細な検討は東電ですら行っていないはずだ。このデータ持ち出しが顧客の東電ですら許されないというのは本来ありえない。すみやかに元データを入手して公開すべきだ。さらに、ロットごとの抜取検査点数のあまりにも大きいばらつき、古い米軍規格を適用しそれが日本の規格と異なること、測定精度が不明確なこと等々、問題はまだまだある。

▲外径検査以外では、MOX燃料特有の問題としてプルトニウムスポットというのがある。プルトニウムのかたまりがあると、それが燃料損傷の原因となる安全上重大なものだが、今の検査体制では、表面しか検査できずしかも時間がかかるので点数が少なくなってしまう、という問題点が指摘されている。東電の場合、福島用で32データ、柏崎用で36データとなっているが、これではあまりに少ないのではないだろうか。詳細は次を読んでほしい。

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再測定不正疑惑

東電報告書によると、抜取検査の方法は、検査員がペレットをデジタル式マイクロメーターに乗せ、足踏みスイッチを踏むことにより測定値がコンピュータに送られるというもの。東電報告にある図を見ると、明らかに検査員は測定結果を確認してから、スイッチを踏むことができる。さらに、ペレットを回転させながら測定するとの記述もある事から、合格範囲からわずかに外れるものについて、検査員がペレットを回すなり位置をずらすなどして範囲に入る測定点を探し、測定結果で確認してからスイッチを踏む、という不正が行われた可能性ある。現に関電用MOXを製造していたBNFLではこの再測定の不正が行われていたことが、関電のBNFL調査中間報告で明らかにされている。

d.抜き取り外径検査の測定方法

管理者への聞き取り調査の結果、以下の事項が判明した。

(a)検査員は、測定値をわずかに越えた場合には、ペレットを90度回転させて再度測定していたことがあった。この方法は要領書に記載されていなかった。

<関電のBNFLの不正調査中間報告P20>

 

東電の場合こうした不正が行われた余地は関電の場合よりも大きいとみなすべきである。というのは

・東電報告書の図では、検査員は明らかに測定結果を見てから、データを送るスイッチを押すことができる。福島第一原発が発行している「ふくいちメール」では「測定値を確認してからスイッチを押す」と明確な記述がある。

・東電報告書ではペレットの測定点について、「…1F3及びKK3用それぞれの生産開始時の3ブレンダーについては、ペレットを90度回転させて、更に3ヶ所(合計6ヶ所)について採取した…」(P20)との記述があり、回転しながらの測定が可能であることを示している。

・ベルゴ社が行った抜取検査は、抜取数が少ない(32個以上)代わりに1つでも規格外のペレットがあれば、約7000本のペレット全てを不合格にしなければならない「ゼロイチ判定」であった。検査員には「1本も不合格にできない」というプレッシャーがかかっていたと思われる。(関電の場合は200本を抜取り、6本以上の規格外があれば約3000本を不合格にするというもの)

・東電報告書の外径測定結果によれば、1F3では合格下限ぎりぎり(10.330mm)のペレットが1ロット中に、KK3では上限ぎりぎり(10.370mm)のペレットが3ロット中に存在する。

・通産省は1月14日の交渉において、不合格ブレンダーはなかったと言っている。

・東電報告書のロットごとの測定結果では、合格の上限付近で不自然にデータが下がっているもの、逆に下限付近で不自然に下がり、左右のアンバランスが目立つものや、データが中央に集中しすぎているものが存在する。

問題はこの不正の可能性について、東電もAVIも全く検証の作業を行っていないことである。

そもそも今回の東電の再調査、再々調査が関電MOXの検査不正が明らかになったことに伴うもので、再測定の不正がBNFLで行われたことがはっきりした以上、ベルゴ社の行った検査についてもこれが行われていたのかどうかの調査を当然行わなければならないはずである。

この問題については、抜取検査の元データの詳細な分析が必要である。90度回転させる前後のデータの比較や測定精度が0.001mmであるなら、その単位での測定結果分布の統計的分析が少なくとも必要であろう。さらに全数の計測記録との比較検討がなされるべきである。ところが、東電報告書にあるのは、1000分の4mmごとの粗い、しかも上中下の測定点も90度回転させる前後もごちゃ混ぜのグラフだけである。しかも東電自身がデータを手にしていない。当然、上記のような検討はなされていない。顧客側が要求して行うはずの品質管理検査のデータが手に入らないというのは全く異常なことである。それなのに、ベルゴ社に不正はないときめつけ、まるでベルゴ社の宣伝パンフレットのような報告書を出す東電もおかしい。通産省はこれを認めるべきではない。

東電は速やかに原データを入手し、不正がないというのであれば、資料を公開した上でそれを証明すべきである。

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抜取検査規格について

東電報告書では、ベルゴ社の文書体系には、ISO、IAEAの規格に並んで、アメリカ材料試験協会、ドイツ工業基準局、MIL−STD等の抜取検査規格がある(P9)。しかし重要な顧客先であるはずの日本のJIS規格はない。ベルゴ社が抜取検査に用いたのはJISではなく米軍規格であるMIL−STD−105Dだが、これは5年前に廃止された古い規格で、今は別の規格に更新されている。

関電、三菱はBNFLに対しJIS(JISZ9015)に準拠する抜取検査(200個を抜き取り5・6判定)を実施させていた。三菱とBNFLの間でどういった規格を適用するかについて打ち合わせがされていたことが、関電の中間報告で明らかになっている(P24)。

日本の安全審査書では従うべき規格はJISであるはずである。その辺を気にしているのか、東電報告書では、「抜取率は、MIL−STD−105D(日本のJISZ9015に相当)」(P6)と括弧書きがされている。しかし、両者は同一ではない。7000個から32個を抜き取り、ゼロイチ判定を行うのは、MILでは「通常検査」だが、JISでは、抜取数が少ないリスクを許容できる場合に行う「特別検査」である。

さらに、東電報告書に示されている「AQL0.15%、32個の抜取」というのは「ゆるい検査」と呼ばれるものである。JISによると「ゆるい検査」は、最初に「なみ検査」を行い、これが一定以上連続して合格した場合にのみ移行できるものである。合格率が低い場合には、「きつい検査」に移行する。通産省によると、東電の場合、福島向けと柏崎向けのそれぞれについて最初の3ブレンダーについては「なみ検査」の80個の抜取を行い、全てに合格したので32個抜取の「ゆるい検査」に移行した。(この辺のことについては東電報告には全く記述がない。)しかしJISでは、「なみ」から「ゆるい」に移行するには、少なくとも15ロットが連続して合格しなければならない。

また、「なみ」から「きつい」への移行が義務的なのに対して、「ゆるい」への移行は義務的ではなく、顧客が要求すれば移行しなくてもよいとなっている。関電は「なみ」で一貫させている。

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測定の点数について

・ブレンダー…混合時に同じだった単位。ペレット約7000本。福島第一原発3号機用(1F3)は70、柏崎刈羽原発3号機用(KK3)は62。
・ロット…焼結時に同じだった単位。1F3が16ロット、KK3が18ロット。

1ロット=約4ブレンダー=約28000本??ただしロットごとの測定点数があまりにばらばらなので、ロットごとのブレンダー数やペレットの本数にはアンバランスがあるかもしれない。

1F3の場合、測定されたペレット2852本。これを3点ずつとして測定点は8556点。最初の3ブレンダーは抜取数80で6点で計測したとすると、追加分が720。合計して9276点。これでも東電報告書にある総データ数9516にあと240点足りない。これは80×3なので、6点の計測を行う80本の抜取をもうあと1回行ったとみるのが妥当か。

KK3の場合、測定されたペレット3096本。これを3点ずつとして測定点は9228点。最初の3ブレンダーは抜取数80で6点で計測したとすると、追加分が720。合計して10008点。これでも東電報告書にある総データ数10488にあと480点足りない。これは80×3×2なので、6点の計測を行う80本の抜取をもうあと2回行ったとみるのが妥当か。

通産省は1月14日交渉において、最初の3ブレンダーについては80本の抜取を行い、さらにまんべんなく抜き取るために約7000本のブレンダーを2〜3個に小分けにし、それぞれから80本の抜取を行った、と発言していたが、上記の考察では再抜き取りは1F3でわずか1回、KK3でも2回だけ、ということになる。その後のブレンダーの抜取状況については32個以上というだけで正確な数字は、報告書を見てもまったくわからない。

最初の3ブレンダーがロット番号の若い順にあるとすると、1F3は、1591ロットが測定数960、6で割ると160でこれは80個の抜き取りを2度行ったことになる。続いて1593、1594ロットが測定数480で、6で割ると80になる。これでちょうど3ブレンダーだが、これだと1ロット=1ブレンダーでロット数とブレンダー数の比率がおかしい。KK3については、はじめから80でも32でも割り切れない数なのでこうした検討もできない。

東電報告書にはロットごとの外径測定結果のグラフがあるが、測定点数はばらばら。しかも上中下、回転前後のデータがごちゃ混ぜになっている。1F3ではロット番号1591から1609までが示されているが、1592、1598、1599が欠番となっている。これは何を意味するのか不明。KK3ではこの欠番が増え、1757から1789のうち、16ロットが欠番になっている。

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プルトニウムスポット

フランク・バーナビー氏の指摘(グリーンピースMOX情報10号付録)によれば、プルトニウムスポットは、燃料損傷の原因となりうる安全上重要なものだが、東電が行っている検査方法(αオートラジオグラフ)では、測定に時間がかかり、点数がどうしても少なくなることが問題にされている。

東電報告書では、プルトニウムスポットの検査は1F3で32データ、KK3で36データとなっている。この数字はブレンダーの数(各約70)よりも少ない。少なすぎはしないか。全く検査されていないブレンダーが存在することになる。

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プルトニウム富化度

関電の場合、これが原因で不合格となるロットが存在している(最終報告書では少なくとも4ロットがプルトニウム富化度が原因で不合格とされている)。検査方法、検査結果はどうなっているのか。東電の場合、等価核分裂性物質濃度及び同位体組成の検査が1F3で10データ、KK3で12データとなっている。ロットごとに検査をしているBNFLよりもずさんではないのか。

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