参考6−5

「健全性評価小委員会への要請書」に対する見解(案)

2003年2月26日
原子力安全・保安院

市民団体から健全性評価小委員会への要請書 HOME



 原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会(以下「健全性評価小委員会」という。)の委員長、委員及び事務局に送付された2003年2月5日付け「健全性評価小委員会への要請書」(別添参照)について、以下のとおり、原子力安全・保安院(以下「当院」という。)の見解を取りまとめた。
 なお、健全性評価小委員会の検討や新たな知見の蓄積等により、以下の見解に修正を加えるべき場合があることを付言する。



1.健全性評価小委員会における「承認」について

1.第4回健全性評価小委員会の検討について

 ひび割れがある柏崎刈羽原子力発電所3号機(以下「柏崎刈羽3号機」という。)及び浜岡原子力発電所4号機(以下「浜岡4号機」という。)の炉心シュラウドに関する当院の評価書(案)について、委員の間では、本件については国民への十分な説明が必要であり、表現の分かりやすさや根拠となる資料等について更に工夫を行う必要があるとの意見があり、第5回の健全性評価小委員会において、更に工夫した資料を提出し検討することとなった。

2.第5回健全性評価小委員会について

 第5回の健全性評価小委員会では、女川原子力発電所1号機(以下「女川1号機」という。)に関する当院の評価書(案)も含め、柏崎刈羽3号機及び浜岡4号機の炉心シュラウドについて修正した当院の評価書(案)を検討した結果、これら3プラントの炉心シュラウドに関する当院の評価書(案)については、一部の表現振りの修正以外には、特段の異論がないことが確認された。



2.再循環系配管の超音波探傷検査の信頼性等について
(1)超音波探傷検査の信頼性が失われた以上維持基準の先取り導入をすべきではない
(2)超音波探傷試験の信頼性を徹底的に検証すべき

1.再循環系配管に係る健全性評価小委員会の検討について

 今回の女川1号機の再循環系配管に対する超音波探傷検査(以下「UT」という。)によるひび割れの深さの測定値と実測値との間にこのような差異が生じた原因については、今後、要因を分析していくことが必要であり、健全性評価小委員会において、公開性が担保された検査データに基づき、科学的客観性をもって、所要の要因分析を行うとともに、ひび割れがある再循環系配管の評価の考え方について検討を行っていくこととしている。
 なお、SUS316(LC)材の再循環系配管のひび割れについての今回のUTにおける差異は、溶接部の形状や溶接材料の特性からひび割れが補捉し難くなる可能性がある等、特殊な環境下で生じた事象と考えられ、UT全般の信頼性が失われたものではないと考えている。

2.健全性評価小委員会の検討と維持基準との関係について

 健全性評価小委員会は、ひび割れが存在する原子炉施設の機器に関し、現時点及び5年後の機器の構造強度等について現行の技術基準に照らして評価を行うことにより、個別に健全性を確認するものである。将来におけるひび割れの進展予測手法については、現行の技術基準に規程されていないため、進展予測を行うに当たって個別の特認が必要である。これに対して、いわゆる「維持基準」は、ひび割れがある設備について、ひび割れの進展予測等の健全性評価手法を一般的なルールとして定めようとするものである。従って、「維持基準」が法令上の技術基準として位置付けられれば、その後の特認の手続きは不要となる。
 以上のように、今回の健全性評価は、今後導入を検討している一般的なルールとしての維持基準の整備とは異なるものである。

3.再循環系配管に対するUTの信頼性について

 事業者による再循環系配管に対するUTの手法、ステンレス鋼配管の応力腐食割れに対する一般的なUTの検出精度、今回の一連の検査結果と分析等については、第5回の健全性評価小委員会で資料(資料5−5−1及び資料5−5−2)を提出し議論が行われたところである。
 なお、第5回の健全性評価小委員会では、中部電力兜l岡原子力発電所3号機(以下「浜岡3号機」という。)について、再循環系配管のひび割れに対して、過去に測定したひび割れの深さの実測値と当該部分のUT結果との比較が資料(資料5−5−1の17頁、19頁)として提出されている。

(参考)
(2)欠陥の検出精度
a)超音波探傷試験の指示長さと実測値の比較〜省略〜
a)超音波探傷試験の指示深さと実測値の比較〜省略〜
(出典:第5回健全性小委員会 参考資料5−5−1 原子炉再循環系配管の健全性評価について(T))



2.再循環系配管の超音波探傷検査の信頼性等について
(3)東北電力は事実を隠し続けてきた
(4)進展予測は誤っていた

1.東北電力鰍フ点検結果の公表について

 東北電力鰍ヘ、内面研削して測定したひび割れ深さのデータを整理し、平成14年11月28日に公表している。また、内面研削等を行った部分に対して実施したUT結果については、他の配管のUT結果も含め全ての検査結果を整理して、平成15年2月3日に公表したとしている。
 なお、こうした多数の部位にわたる点検結果の公表時期については、点検のデータが整理され次第できるだけ速やかに公表されることが望ましいと考えるが、膨大な生データが得られる場合等は、正確かつ総括的に、また、一般にもわかりやすく整理して公表することも重要であり、ある程度のデータの蓄積と作業期間が必要な場合があることを念頭におくべきである。

2.東北電力鰍フ進展予測について

 東北電力鰍ヘ、1998年当時のひび割れの深さの進展予測は、ひび割れの兆候を発見した当時の知見に基づき、NRCと同様の進展評価手法に従ったものであるとしている。また、同電力は、ひび割れの進展予測による「10年につき約1ミリ」とひび割れの実測値による「10年につき約6ミリ」との差については、ひび割れの進展過程において着目している部分が異なるためであり単純比較は無意味であるとしている。
 つまり、ひび割れの進展過程は、残留応力分布により、始めは緩やかに進展し、その後急速に進展した後再び緩やかに進展することから、「10年につき約1ミリ」とは、主に急速に進展した後の緩やかな進展部分を評価しているのに対し「10年につき約6ミリ」とは、急速に進展する部分を含めて評価しているものであるとしている。なお、同電力は、今後の実機プラントの材料調査等から得られたデータを基に、ひび割れの進展に与える諸因子について評価'検討していく予定であるとしている。

*ひび割れの進展についてのイメージ図
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3.シュラウドの検査に関して
(1)超音波探傷検査の能力について
(2)目視検査の能力に係わる問題について

1.Y字型のひび割れの深さに関する実測値とUTの比較について

 柏崎刈羽1号機の炉心シュラウド胴部で発生したいわゆる「Y字型のひび割れ」のサンプル調査によるひび割れの実測値とUT検査結果の比較については、次のようなデータを第5回健全性評価小委員会の補足説明資料に盛り込んでいる。

表3 柏崎刈羽原子力発電所1号機のH4
部位 ボートサンプルでのひび
割れの深さ測定値(mm)
UTによるひび割れ
深さ評価値(mm)
備考
Y宇形のひび割れ
の垂直方向
13mm以上(貫通)
14mm以上(貫通)
最大値11.6mm ひび割れは表面
から深さ方向に
対し傾斜して進み、
内部で交錯。
Y字形のひび割れ
の右上がり方向
10mm以上(貫通)
12mm以上(貫通)
最大値10.2mm
Y字形のひび割れ
の左上がり方向
10mm以上(貫通)
14mm以上(貫通)
 
出典:(第5回健全性評価小委員会 資料5−4 22頁 表3)

 炉心シュラウド胴部に発生したひび割れについては、形状が2次元的に広がっており、また、内部で分岐する等複雑な割れ方をする場合があるため、超音波探傷検査でひび割れの先端部を捉え難いことがあり得る。
 他方、胴部に発生したひび割れは全周にわたってひび割れが発生しているリング部と異なり、単発的に発生しており、このひび割れの健全性に与える影響は比較的小さいものと考えられる。こめひび割れに関して、構造強度の評価を行う際には、保守的にひび割れが貫通していると仮定することが合理的である。このような評価によれば、UTによる深さ方向の測定の誤差が少々大きくても評価には影響を与えないものと考えられる。

2.リング部におけるひび割れ深さの実測値とUTの測定結果の差について

 柏崎刈羽3号機の炉心シュラウドサポートリングのサンプル調査だけでなく、女川1号機の中間部リングのサンプル調査でもひび割れ深さの実測値とUTの測定値は概ねよい一致を見せている。

表2 女川原子力発電所1号機のH2
部位 ポートサンプルでのひび割れ
の深さ測定値(mm)
UTによるひび割れ
深さ評価値(mm)
備考
H2 90°〜
91°付近
1.5mm
1.5mm
2.8mm
3.4mm
4.7mm
3.9mm
H2 90°〜
91°付近の
最大値4.6mm
最小値3.4mm
  
出典:(第5回健全性評価小委員会資料5−4 22頁表2)

 これはリング部においてひび割れの方向がUTの超音波ビームの方向と直角になる部分が多いこと、ひび割れが表面と垂直の方向に比較的真っ直ぐに進みやすいこと等から、超音波ビームがひび割れの先端部を捉えやすいこと等が考えられる。

3.中部電力鰍フ炉心シュラウドの点検について

 中部電力鰍ヘ、平成13年の点検における「インディケーション」は、非常に微細な開口部をもつひび割れであり、福島第一原子力発電所2号機(以下「福島第一2号機」という。)や福島第二原子力発電所3号機(以下「福島第二3号機」という。)の一見してそれと分かるひび割れの鮮明な開口部とは異なっていたとしている。
 このような微細な開口部をもつひび割れがあることは昨年の柏崎刈羽3号機の点検等で明らかになってきたものであり、これをひび割れの兆候と判断しなかったことについて不適切とすることはできないと考える。



4.ひび割れの点検対象について
(1)浜岡4号機炉心シュラウドのH7aをなぜ調べないのか

 応力腐食割れはゆっくりと進展することが知られており、また、これは原子炉内の環境を模擬した応力腐食割れの進展実験で確認されていることから、炉心シュラウドの点検については、適切な頻度で実施することが基本的考え方である。
 そうしたことを前提として、今回、中部電力鰍ェH7aの点検を行わなかったのは、事業者としての自主的な判断によるものである。
 他方、今回の点検で炉心シュラウドサポートリングの溶接部(H7a)近傍にひび割れが発見されなかったプラントがいくつかあるものの、柏崎刈羽3号機等でこの部分にひび割れが確認されている状況を踏まえれば、浜岡4号機のH7aについても早い時期に点検を実施することが適当であると思われる。
 なお、炉心シュラウドに対する今後の点検の考え方については、今回の一連の点検結果を踏まえ検討を行っていく必要があると考えている。

4.ひび割れの点検対象について
(2)再循環系配管の検査範囲と間隔について
(3)全溶接線の点検と追跡が必要
(4)シュラウドの点検箇所について

1.再循環系配管及び炉心シュラウドの点検について

 国の定期検査として行っている再循環系配管の点検頻度は、米国機械学会規程(ASME Boiler and Pressure Vessel Code Sec. XI)を参考に作成された(社)日本電気協会電気技術規程(JEAC4205)に定められたものに従っている。
 これに対し、炉心シュラウドの溶接線の点検は、自主検査として行われているものであり、検査間隔を10年としているのは、米国の検査指針(BWRVIP)を勘案して定められているものである。
 今回、応力腐食割れに強いとされているSUS316(LC)の再循環系配管に応力腐食割れが生じたことについては、現在、健全性評価小委員会において検討が行われており、この結果を踏まえて点検間隔等の変更も含め検討を行っていく必要があると考えられる。

2.炉心シュラウドの点検箇所について

 応力腐食割れは材料、環境、応力等の条件が重なったときに発生するものであり、これらの条件が同様な箇所であれば発生の可能性があることから、仮に、障害物により点検が行えない箇所があっても、その近傍を点検することによリ、シュラウドの健全性を評価することは可能であると考える。
 なお、炉心シュラウドの点検のあり方については、現在行われている健全性評価小委員会の検討結果を踏まえ、今後検討していく必要があると考えている。



5.応力腐食割れ対策材料(SUS316L)でひび割れが多発している件について
(1)材料への過信
(2)応力腐食割れについての理解の欠如
(3)知見の蓄積は十分か
(4)保安院の指示の誤まり
(5)シュラウドH4のひび割れの原因は全く未解明
(6)原子力学会も「再検討が必要」
(7)国も実証研究を継続中

 低炭素ステンレス鋼に応力腐食割れ(SCC)が発生した背景については、第5回健全性評価小委員会の資料5−4の中で説明を行ったところであるが、提起された点について以下のとおり補足する。

1.応力腐食割れ対策材料と応力腐食割れについての理解

 東京電力鰍ヘ、福島第二原子力発電所1号機(以下{福島第二1号機}という。)は建設当時にはSCC対策材であるSUS304Lの再循環系配管に使用実績が少なかったため、念のため残留応力緩和措置を実施した、としている。
 SCCは、材料因子、応力因子、及び環境因子が重なることにより発生するとされてきたことから、事業者は材料因子の改善を中心に対策を講じてきたものであるが、近年、機械加工等による表面硬化などの材料因子以外の要因も関係する中で、SCCが発生することが明らかとなってきたものである。
 これは、我が国では平成13年の福島第二3号機炉心シュラウドで発生したひび割れの原因究明で明らかになったものであり、比較的最近の知見であると言える。

2.応力腐食割れの進展評価等について

 SUS316Lの炉心シュラウドについてのひび割れ進展評価等については、我が国では福島第二3号機で初めて実施されたものであるが、SUS304の炉心シュラウドに対しては平成6年の福島第−2号機のひび割れの際に実施されており、特に最近開発された手法ではなく、諸外国では実績のある手法である。
 また、応力拡大係数から進展速度を求める関数式については、応力腐食割れの進展データの温度、導電率、腐食電位等の沸騰水型原子炉内の環境条件を模擬した実験において、得られた実験データの上限値を包絡した進展速度線図に基づいている。

3.保安院の指示について

 福島第二3号機の炉心シュラウドのひび割れが発生した際に出した点検の指示は、H6aと同様な機械加工を実施したリング部の溶接部及びその近傍を対象としたものである。
 今回発見されたひび割れの中には、胴部の溶接線(H4)近傍等、2001年に想定された場所以外において発生したものがあった。これらのひび割れについては、現在健全性評価小委員会においてその発生原因等について検討を行っており、この結果を踏まえ、2001年9月の指示の見直しを含め検討を行っていくこととしている。

4.胴部のひび割れについて

 H4付近等の胴部のひび割れについての調査では、やはり表面層の硬化が確認されている。この材料表面の硬化は機械加工だけでなく溶接部仕上げの際のグラインダ加工等によっても生じることが分かってきている。

(福島第二3号機中間部リング溶接線(H6a)サンプリング調査)(出典二第5回資料5−1)〜省略〜
(女川1号機中間部リング溶接線(H4)サンプリング調査)(出典:第5回資料5−1)〜省略〜
(柏崎刈羽3号機炉心シュラウドサポートリング溶接線(H7a)サンプリング調査)(出典二第5回資料5−1)〜省略〜

 H4付近に発生しているひび割れは、単発で発生していることから、全周にわたりひび割れが発生しているリング部とは状況が異なっている。この単発のひび割れに対し、ひび割れが炉心シュラウドの壁を貫通していると仮定するモデルにより評価が行われる場合には、ひび割れの深さ方向への進展は評価に影響しないものと考えられる。

5.原子力学会の検討について

 なぜ表面の硬化層で粒内型SCCが発生するか等の解明については、今後の中長期的な調査研究を行うことが重要である。
 他方、ひび割れの大部分は粒界型SCCであることがサンプル調査で明らかになっており、また、その進展速度についても実際の原子炉内の環境条件を模擬した実験データが得られていることから、炉心シュラウドの健全性の評価を行う基盤は整っていると考える。

6.国の実証研究について

 これらの実証研究は、非破壊検査技術や健全性評価のためのデータ蓄積等を行うことにより、原子力発電所の安全性・信頼性の一層の向上を図るために実施するものであり、現時点の評価技術や検査技術が確立きれていないことを意味するものではない。



6.ひび割れがあるシュラウドの技術基準適合性に関する法令上の取扱いについて
(1)技術基準の材料規定を外す根拠は何か
(2)これまでもひび割れ容認の立場であったのか
(3)地元への説明はあったのか
(4)地元がひび割れを容認した事実について
(5)残存面積による強度評価は告示501号にあるのか
(6)ひび割れ容認の合法化は許されるのか

1.技術基準の材料規定について

 告示501号第94条は、炉心シュラウド等の炉心支持構造物を製造するに当たって使用する材料についての規格を定めたものであり、使用する材料は破壊試験に合格することとの規定を含むことからも分かるように、その性格上、設計時及び建設時にのみ適用されるものである。

2.ひび割れに対する国の立場について

 告示501号においては、発電用原子力設備に使用される材料に係る基準である材料の規格(以下「材料規格」という。)と発電用原子力設備の構造強度等に係る基準である構造の規格、安全弁等に係る基準、耐圧試験に係る基準及び監視試験片に係る基準(以下「構造等規格」という。)を定めている。このうち材料規格は、1.で述べたとおり設計時及び建設時にのみ適用されるものであり、供用中の発電用原子力設備については、材料規格は適用されず、ひび割れ等がある場合であっても構造等規格その他関係する法令の規定に照らし安全上問題がない場合には、原子炉を運転することが可能である。

3.地元への説明等について

 平成13年7月に東京電力鰍ゥら連絡があった福島第二3号機の炉心シュラウドのひび割れについては、東京電力鰍ゥら当該炉心シュラウドはひび割れが存在していても十分な構造強度を有している旨の報告がなされた。これを受けて、平成13年9月、経済産業省において、東京電力鰍フ当該報告は妥当なものであり、当該炉心シュラウドのき裂は安全上問題とならない旨の判断を公表するとともに、公表した内容を立地自治体に通知している。
 この炉心シュラウドの構造強度の評価は、タイロッド補修を行わない場合のものであり、東京電力鰍フ判断によりタイロッド補修が行われたことによって炉心シュラウドの構造強度の評価が否定されたわけではない。

4.残存断面積による強度評価について

 告示501号では、炉心シュラウド等の炉心支持構造物について、荷重がかかる設備の断面に発生する応力が許容応力以下であることを要求している。今回、ひび割れがある炉心シュラウドの健全性評価に当たっては、まず、告示501号に基づく設備の断面に発生する応力について許容応力と比較を行い、これを満足する断面積を必要残存面積として算出している。
 今回の健全性評価においては、さらに、ひび割れの進展予測を行って、将来の時点における残存面積を算出し、これと告示501号に基づいて算出された必要残存面積との比較により健全性の評価を行っている。
 「補足説明資料」の記述は、ひび割れの進展予測に係る評価方法について、現行の技術基準には規定がないことを示したものであり、両者に矛盾はない。

5.ひび割れ容認の合法化は許されるのかについて

 供用中の発電用原子力設備については、材料規格は適用されず、ひび割れ等がある場合であっても構造等規格その他関係する法令の規定に照らし安全上問題がない場合には、原子炉を運転することが可能であることについては前述のとおりである。また、3.で述べたとおり、福島第二3号機のひび割れについて安全上問題ない旨判断し、公表しているほか、平成11年11月に、日本原子力発電鞄穴C第二発電所の中性子計測ハウジングについて、ひび割れの進展予測を行って評価した結果、取替え等を行わずに次回定期検査まで使用することとし、これを公表している。
 原子力安全・保安院においては、これまでも今回の健全性評価等に係る地元自治体への説明等を行ってきたところであり、今後、評価結果等について、立地市町村等に対して、その内容を十分説明していく方針としている。



7.情報開示についてその他
(1)解析の詳細についての情報開示について
(2)ひび割れの最大値で評価すべき
(3)実測値と解析値の逆転について

1.解析の詳細についての情報開示について

 残留応力分布の解析についての解析にはメーカーのノウハウが含まれており、一般に公表できるものではない。しかし、健全性評価小委員会及び原子力安全委員会原子力発電設備安全評価プロジェクトチーム(以下(安全安全委員会PT」という。)のメンバーの希望者には、非開示を条件に資料を提供しており、専門家の目でチェックが行われている。
 さらに、原子力安全委員会PT事務局からの依頼で日本原子力研究所が残留応力分布、必要残存面積ミひび割れ進展速度と進展予測等について、第三者的専門家として、詳細なデータのチェックと解析等のクロスチェックを実施しており、事業者の実施した解析の妥当性を検証している。

2.残存面積の算出に使うひび割れ深さについて

 ひび割れの平均値を使用した場合でも、ひび割れがない部分も含めてこの深さのひび割れが全周にわたり均一にあると仮定することにより保守的に残存面積を算定することができる。これに対し、ひび割れの最大値を用いた場合は、仮に1点でも他よりかけ離れて大きい値のものが計測された場合には過大にひび割れの面積を算定することになる懸念がある。
 なお、健全性の評価は、必要残存面積の算定、現時点での残存面積の算定、進展評価の各段階、及び5年後の構造強度の確認等、評価の全体として保守性を担保することで、適切に実施されるものと考えられる。

3.残留応力分布の解析値について

 福島第−2号機の炉心シュラウドのモックアップ試験による材料表面の残留応力分布の解析については、実測値が解析値を上回ったりまた下回ったりしているところがあるが、専門家の判断としては全体としてよく一致しているというものである。
 残留応力分布の解析は、できるだけ実態に近いように行うことが重要であり、健全性の評価は、必要残存面積の算定、現時点での残存面積の算定、進展評価の各段階、及び5年後の構造強度の確認等、評価の全体として保守性を担保することで、適切に実施されるものと考えられる。

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